セレオリ(セレクトショップオリジナルブランド)は”ブランド”なのか?中古相場は?
引用元 メンズファッション部
セレオリ(セレクトショップオリジナルブランド)の印象について聞くと、
「脱オタするにはまずセレオリを」「ファストファッションより一歩進んだおしゃれはセレオリから」
というポジティブな印象から、
「コスパが悪い」「ダサい」「値段のわりに質が低い」「そもそも買わない」
「服好きからの評価が低い」「セレオリ同士の違いがわからない」
というネガティブな印象まで様々あるかと思います。
今回は、「セレオリってそもそもブランドとして認定していいの?」
という疑問に対しての当社の見解や、セレオリの詳しい実態、中古相場についてご紹介いたします。
■セレオリとは
セレオリ(セレクトショップオリジナルブランド)とは、
セレクトショップが独自に作っているオリジナル商品のことです。
一般的に服のタグにそのショップ名が入っていることが多いです。
例えば、大手セレクトショップのBEAMSであれば、
タグにBEAMSとロゴが入っている商品はBEAMSのオリジナル商品です。
他の例として、別の大手セレクトショップである
UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)で考えてみましょう。
UA(ユナイテッドアローズ)の中でも
比較的価格帯が安めのグリーンレーベルリラクシングや
シンプルなイメージが強いBEAUTY&YOUTH(ビューティ&ユース)、
そのBEAUTY&YOUTH(ビューティ&ユース)のオリジナルレーベルである
モンキータイムなどがUA(セレクトショップ)のオリジナルブランドと言えます。
このパターンだと、元のセレクトショップからどんどん細分化されていくのが特徴です。
ジャーナルスタンダードなどを手掛けるベイクルーズも、多くのショップを持ち、
数多くのオリジナルブランドが存在しています。
引用元 ナイスミドルへの道
今現在、セレクトショップの商品比率におけるセレオリの比率は7~8割と言われております。
即ち、バイヤーなどによってセレクトされた商品はわずか2~3割にすぎないのです。
多くの大手セレクトショップは、業績を伸ばすすとともに、
自然とオリジナル商品を増やしてきたという歴史があります。
しかし、個性を打ち出すのがセレクトショップであるはずなのに、
セレオリを増やすにつれて、没個性なショップができあがってしまいました。
では、なぜこのセレオリがセレクトショップを埋め尽くし、
そういった個性のないショップへと変貌させる要因となったのか。
次の章ではセレオリ登場から今の現状について深堀してみます。
■セレオリ登場の流れ&もたらした現状について
セレクトショップというのは元来、
バイヤーのチョイスによって選ばれたブランドによって構成されるショップでした。
しかし、業績を伸ばそうとすると、
このビジネスモデルではやっていけないという状況が訪れました。
そこで、大手セレクトショップは利益率の高い自社商品(セレオリ)を数多く作り、
利益率の低い仕入れ商品を減らすことによって、
全体の利益率を上げるという戦略に売って出たのです。
この戦略は順調にいっているかのように見えました。
しかし、近年になって自社企画商品であるセレオリの比率を高めることが、
必ずしも成功であると言える状態にはならなくなってきたのです
というのも、仕入れ商品は良くも悪くもショップの個性が反映されます。
ゆえに、元々セレクトショップというのは
各々個性が際立ったブランド選定を行っていたので、個性が強かったのです。
しかし、仕入れ商品を減らすことによって、
店側の個性が弱まってしまうという状態が生まれました。
また、そこで同時に発生したのが、セレオリ商品の同質化です。
セレオリが同質化するということはどういうことか?
それは、セレオリの商品比率が7~8割を占めるセレクトショップ間での差自体も、
あまりない状態になってしまったのです。
すなわち、セレオリの同質化は、セレクトショップ自体の同質化をも招いたのです。
なぜ、この同質化がおこってしまったのでしょうか?
それはまずセレオリの同質化に関して、紐解いてあげる必要があります。
大事な点は3つです。
1.トレンドソースが同じである
2.製造を商社に委託した
3.商品企画をOEM/ODM業者に任せた
1に関して言うと、セレオリは利益率を高めるため、
トレンドを意識した商品開発を行います。
これは、大抵の大手セレクトショップがとった同じ戦略と言えます。
それにより、そもそも企画の段階で提案される商品が、
デザイナーの意志が反映されたブランドとは真逆の、
トレンドを強く意識しすぎた作りになってしまったのです。
2に関して言うと、今現在、国内の商社は数えるほどしかないのが現状です。
従って、すべてのブランドがそれら少数しかない商社によって作られます。
こうなると必然的にデザインやディテールなどが似てくるという事態に陥るのです。
3に関して言うと、自社で企画デザイナーやパタンナーを抱えている会社が
あまりにも少なくなってきているという現状があります。
すると、どういう事態が発生してくるか。
商品企画の外注化が行われます。すなわち、自社で企画をおこなわないというしわ寄せが
OEM/ODM業者に来ているというのが今の現状です。
ここまでくると、一つ疑問に感じる方もいるかと思います。
自社で企画・生産したオリジナルブランドがセレオリであるはずなのに、
実態は、企画・生産を商社やOEM/ODM業者に丸投げしている所が多いという現状についてです。
これでは、もちろんセレオリに個性は生まれない状況となってしまいます。
こういった点が今のアパレル業界の、早急に解決すべき課題なのかもしれません。
この章をまとめると、
前述した3点から、セレオリの同質化が醸成され、
結果的に、セレクトショップ各々のテイストも薄まり、同質化してしまったと見ることができます。
次の章では、セレオリの値段に関して説明したいと思います。
■セレオリの値段について
一般的には、セレオリはセレクトされたブランドより安価であり、
ある種買いやすいという側面はあります。
コストを抑えて中間マージンをなくしているため、
安価にはなっているのですが、セールにかかる幅も大きく、市場流通量も多いです。
そういった理由から、中古市場において、再販価値は総じて低いです。
また、特に女性向けのブランドで近年増えているのがワンサイズ展開です。
これは、在庫をあまり抱えたくないブランド側の実情によって生まれたものだと認識しております。
サイズに幅を持たせれば持たせるほど、売れ残るサイズなどが出てきます。
結果、セールにかけて売ったり、それでも売れ残ったりする可能性が出てくるため、
ワンサイズ展開というものが出てきたのでしょう。
セレクトショップの中には、顧客ターゲットを絞ってワンサイズだけ商品を生産し、
それにフリーサイズと表記して販売しているところもあるそうです。
また、SNS等を利用したマーケティングや、
ECサイトを利用した販売で30代女性から支持を得ているブランドもあります。
それが以下の3つのブランドです。
・ROKU(ユナイテッドアローズ)
・Deuxieme Classe(ベイクルーズ)
・IENA (ベイクルーズ)
これらは基本的に新しいモデルであれば、比較的中古でも値が付きやすいです。
他には、別注アイテムもそのブランドの通常ラインより中古相場が高くなることが多いです。
特に、BEAMSの別注品は比較的高値が付きやすいと言えるでしょう。
■当店での取り扱い
以前投稿したした記事でもある、
「セレクトショップオリジナルブランド、その他発売から3年以内の品が買取対象となるブランドについて」
でも紹介したのですが、
一部ブランドは中古市場での再販が難しいことが多く取扱い対象外としています。
(当店では、¥2,000(税別)以上で中古市場での再販が可能な品を取り扱い品としています)
また、発売から3年以内の品に取り扱い品を限定したりと、
他ブランドよりも制限を設けた上で取り扱いをおこなっています。
■当社の見解
当社は、
「セレオリは、1ブランドとしては成立している」という見方をしています。
しかし、セレオリは中古市場においてリセールバリュー(再販価値)が総じて低いというのが現状です。
ごく一部のブランドにおいては高いブランド力を持っており、
そのブランドは新しいモデルであれば比較的高く売れやすいです。
前述したように、企画・生産を外注するブランドが多い中、
内部デザイナーを抱えたDeuxieme Classe(金川博子)、ROKU(吉田恵理子はディレクター)などは
デザイナーやディレクターの意向が反映されていることもあって、人気の高いブランドとなっています。
引用元 UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE (ROKUディレクター吉田恵理子インタビュー)
■KLDの販売ページはこちら
以下のモールでKLDの商品を販売しています。
ぜひご覧ください!(販売内容はどのモールも同じです。)
■まとめ
セレオリに関して、それぞれの見方があるかと思います。
もちろん当社のように
「セレオリは、1ブランドとして成立している」という方もいれば、
「セレオリは、1ブランドとしてみなせない」あるいは、
「セレオリの中で、1ブランドとみなせるものもある」など、様々いらっしゃるかと思います。
また、セレオリは基本的に中古相場としてのいわゆるリセールバリューが低いので、
その辺りも含めたコスパは通常のブランドと比べ、悪いのではないかと考えられます。
しかし、前述したように、内部デザイナー・ディレクターを抱えたブランドなどは
期待も高く、力があるブランドも多いので、そういったブランドは特に注目してみるのも良いかもしれません。
以上、「セレオリ(セレクトショップオリジナルブランド)は”ブランド”なのか?中古相場は?」でした。
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