アメカジから派生したスタイルについて|文化と歴史
引用wear.jp
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
多くのファッション好きから支持を得ている「アメカジ」。
日本で生まれたアメカジファッションは、本場アメリカの歴史や伝統、カルチャーなどが絡んだ“ルーツ”をもとに様々なスタイルに派生しています。
今回は、
- アメカジとは
- アメカジスタイルの種類
- 代表的なアイテム
という形でお話していきます。
アメカジには一体どんなスタイルがあるのかを知ることで、アメカジへの関心とファッションへの楽しみがより一層深くなると思います。
こちらの動画でも解説しているのでぜひご覧ください!
アメカジとは
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多くのファッション系統の中でも根強い人気を誇る「アメカジ」。
アメカジとはアメリカンカジュアルの略称で、アメリカンテイストのアパレル製品やその着こなし全般を指すものです。
スウェットやデニムパンツ、チノパンなどラフで機能性が高いアイテムによって構成されています。
日本においては、1980年代から1990年代にアメリカの若者のファッションをヒントに、渋谷で流行ったスタイルがアメカジの始まりです。
雑誌「POPEYE」1989年号にて 引用mlr.jp
当時は「渋カジ」と言われていましたが、現在ではアメカジという名称が定着しました。
アメカジは全国に広まり、今や世代を問わず人気のファッションジャンルとして愛され続けています。
アメカジスタイルの種類
一言でアメカジといっても、その種類は実にさまざま。
どのスタイルもアメリカの文化や歴史を感じさせる魅力を持っています。
ここからは、定番のアメカジスタイルを6つ紹介します。
それぞれ代表的なアイテムにも触れているので、ぜひ着こなしの参考にしてみてください。
カレッジスタイル
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カレッジスタイルは、日本においてアメカジの火付け役になったスタイルです。
1960年代のアメリカの大学生の通学服や日常着がベースとなっています。
世代・性別問わず人気のスタイルで、気軽に着用できるアイテムが多いのが特徴。
若者らしい軽やかでアクティブな印象ですが、着こなし次第で大人な雰囲気にもなります。
カレッジスタイルのルーツ
カレッジスタイルは、米国東部の伝統的な学生スタイル「アイビールック」という、ネイビーのジャケットにスラックスを合わせた着こなしが由来とされています。
ただ、アイビールックはアメリカの社会的エリートを表したようなスタイルだったため、特別な学校行事やドレスアップをするための一張羅として着用されていました。
アイビーカジュアル 引用ivy-style.com
一部のエリート学生は普段から洒落た服装を楽しんでいたそうですが、一般的な学生たちの学校生活では、「アイビーカジュアル」という気取らないスタイルを好んでいたそうです。
中でも大学の校章やロゴがプリントされた存在感のあるカレッジTシャツは、学内の売店で購入できたということもあり、アイビールックの象徴的なワードローブとなっていきました。
カレッジスタイルのルーツには、エリート的なアイビールックが根源にありながらも、カジュアルな服装を好む学生たちの服装も大きく関係しているのです。
近年では、時代とともにカジュアル化が進み、スウェットやデニムパンツといったラフな装いがカレッジスタイルの主流となりました。
代表的なアイテム
カレッジスタイルの代表的なアイテムは、カレッジロゴTシャツやスタジアムジャンパー、スウェット、ジーンズ、チノパンなどです。
大学生のデイリーウェアから生まれたことから、気取らない軽快さがありつつ、清潔感のある印象をもちます。
カレッジスタイルの代表的なブランドとしては、「RALPH LAUREN(ラルフローレン)」「Levi’s(リーバイス)」「Champion(チャンピオン)」などが有名です。
この3ブランドは長年積み重ねてきた歴史があり、カレッジスタイルに大きな影響を与えています。
ワークスタイル
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ワークスタイルは、作業用として親しまれてきたワークウェアを取り入れたスタイルです。
労働者が着ることを前提として設計されているため、機能性や実用性を重視した製品が多く見られます。
タフで男らしい印象を与え、流行に左右されないジャンルとして確立しています。
また、高密度に織られた厚手のデニム生地を使用しているアイテムも多く、丈夫で動きやすいのが特徴です。
無骨な印象のあるワークスタイルですが、カラーリングを統一したり、シンプルなアイテムを合わせたりすることで、スタイリッシュな雰囲気も演出できます。
ワークスタイルのルーツ
ワークスタイルは、アメリカの古い労働者の服装がルーツとされています。
ワークスタイルの先駆者となった代表的なブランドといえば「Carhartt(カーハート)」。
古くから労働者に向けたワークウェアを生産し、現代風にアレンジしながら進化を遂げているブランドで、そのルーツに深く関係しています。
ブランドが誕生した1889年頃、アメリカで鉄道が発展していたことに目を付けたカーハートは、鉄道員向けに、丈夫な素材を用いたオーバーオールを作りました。
そのオーバーオールは鉄道員から絶大な人気を獲得し、カーハートはワークウェアブランドとして確立していきました。
さらに時代とともに「Dickies(ディッキーズ)」や「BIGMAC(ビッグマック)」などのワークウェアブランドも誕生し、ワークウェアは労働者の間に大量に出回りました。
自由な生活を送る労働者たち 引用differencebetween.com
また、日雇い建設労働や炭鉱労働、農業などを仕事とし、素朴で自由な生活を送る“ヒルビリー”のような労働者に憧れる都会のアメリカ人が多くなったことで、ワークウェアが注目されるように。
1980年代にはBボーイやスケーターが登場し、ワークウェアもファッションアイテムとして扱われるようになりました。
1990年代以降は日本でもヒップホップやストリートカルチャーが浸透したため、ワークスタイルが確立するようになったのです。
今やストリートファッションには欠かせないワークスタイルですが、そのルーツには、当時の作業着の発展があったのです。
代表的なアイテム
ワークスタイルの代表的なアイテムは、オーバーオールやネルシャツ、ジーンズなどです。
作業靴(ワークブーツ)や安全靴もワークウェアのルーツからきています。
どのアイテムも耐久性に優れていて、ハードに使い込めるタフさが魅力的。
使用すればするほど味わいが増すワークアイテムは、ヴィンテージものを含め、古着でも人気を博しています。
ミリタリースタイル
ミリタリースタイルは、主に陸軍の軍服を模したスタイルのことです。
軍服や戦闘服にヒントを得た機能的なデザインが多く、耐久性のある素材を使用しているのが特徴です。
陸軍系の服を着るアーミースタイル、海軍系の服を着るネイビースタイルと分けることもあります。
ミリタリースタイルのルーツ
ミリタリースタイルは軍隊の服がルーツとされており、元々は米軍の払い下げの軍用服をファッションに取り入れたことから一般化していきました。
1946年頃から軍装品を販売していた『中田商店』引用fashiontechnews.zozo.com
第二次世界大戦後の日本では、戦後の物不足という背景もあり、米軍が放出した余剰の軍服や軍装品が出回っていました。
1950年に朝鮮戦争が始まると、アメリカ占領軍の余剰物資が増えたため、余剰軍用品を販売する人も増加。
1965年のベトナム戦争時には、米軍の軍服や軍装品などを一気に払い下げた放出品ブームが起こり、大勢の人が軍服をファッションとして取り入れるようになったのです。
1975年には『ZUTORUBI(ずうとるび)』というアイドルグループのメンバー4人が米軍放出品を全身で着こなしているポスターが発行され、ミリタリースタイルがファッショントレンドとして浸透していきました。
『トップガン』で「G-1」を着用するトム・クルーズ 引用pinterest.jp
その後、1986年に公開された映画『トップガン』でトム・クルーズが劇中で着用していた、パッチをあしらった海軍のフライトジャケット「G-1」がヒットし、ミリタリーウェアの盛り上がりを後押ししました。
このようにミリタリースタイルのルーツを辿ると、かつては米軍の余剰軍用品を再利用するという形で使用されてきたミリタリーウェアが、徐々にファッションアイテムとして取り入れられてきたことが分かります。
代表的なアイテム
ミリタリースタイルの代表的なアイテムは、MA-1、N-3B、モッズコート、カーゴパンツ、ベイカーパンツなど。
カラーは、カーキやオリーブグリーンといった色合いが定番です。
全身をミリタリーアイテムでコーディネートをすると軍人のようになってしまうので、ワンポイントで使うとバランスよく着こなせるでしょう。
ミリタリースタイルに定評があるブランドといえば、「AVIREX(アヴィレックス)」「ALPHA(アルファ)」「WILD THINGS(ワイルドシングス)」などで、タウンユースしやすいファッション性を兼ね備えたミリタリーウェアを展開しています。
サーフスタイル
サーフスタイルは、アメリカ西海岸のサーファーから広がったスタイルです。
ラフなTシャツや明るい色のアロハシャツなどにショートパンツを合わせ、足下はビーチサンダルといったスタイルが定番。
またサマーコーデュロイやタオル地など、涼しく肌触りが良い素材を採用したアイテムが多いのも特徴です。
リラックスした雰囲気と爽やかな印象があり、主に夏のファッションとして人気があります。
サーフスタイルのルーツ
1960年代のカリフォルニアのサーフシーン 引用safarilounge.jp
サーフスタイルは、アメリカ西海岸のサーフカルチャーが起源になっています。
1960年代にすでに欧米で発展していたサーフカルチャーが、日本で浸透したのは1970年代以降。
当時は高度経済成長期で人々の生活水準が向上していたことも相まって、サーフィンブームが起こり、カルチャーとして広がりました
また、サーフィンはしないがサーファーのような服装をしている人を対象とした「陸(おか)サーファー」という言葉が生まれたのもこの頃です。
陸サーファーたちのファッションは、伸ばした茶髪に動きやすいラフな服装をする、というのが主流だったそう。
とはいえ1970年代の日本では、サーフ系ファッションはまだ馴染みがなく、当時流行していたアイビールックの陰に隠れた存在でした。
「サーフファッション」として広く認知されたのは1980年代。
この頃になるとアメリカの「Quiksilver(クイックシルバー)」や、オーストラリアの「BILLABONG(ビラボン)」などのサーフブランドが次々と日本に上陸し、若い世代を中心に大流行しました。
雑誌で特集が組まれるほどサーフスタイルは人気に(1985年2月号の「Fine」)引用yamadakoji.com
派手なTシャツにショートパンツを合わせる、アメリカ西海岸のサーフスタイルが日本でも定着するようになったのです。
1990年代以降は、ストリートでも馴染むアーバン系サーフブランドが増加し、幅広い層がサーフスタイルを楽しむようになりました。
このようにサーフスタイルは、アメリカ西海岸のサーフカルチャーをベースとしながら発展してきたことが分かります。
代表的なアイテム
サーフスタイルの代表的なアイテムは、色鮮やかなアロハシャツやTシャツ、ショートパンツ、サーフパンツ、ビーチサンダルなどです。
ビーチを連想させる、ラフで軽快なカジュアルアイテムが中心となっています。
キャップやサングラスなどの夏小物を加えることで、さらにサーフスタイルらしい雰囲気を演出できるでしょう。
サーフィン文化との結びつきが強いブランドといえば、「Vans(バンズ)」「Saturdays NYC(サタデーズニューヨーク)」「Ron Herman(ロン・ハーマン)」などです。
サーフィンをするだけでなく、普段着としても楽しめるアイテムが多数揃っています。
バイカースタイル
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バイカースタイルは、バイク愛好者たちから高い支持を得ているスタイルです。
バイカー文化に伴い、バイカーファッションも生まれました。
バイカースタイルのアイテムは、主にバイク乗り用に設計されているため、防風性や耐久性に優れている傾向にあります。
また、重厚感のある素材やデザインが多く、ワイルドな着こなしが魅力です。
バイカースタイルは、一つのファッションスタイルとして確立しているので、バイクに乗らない人からも好まれています。
バイカースタイルのルーツ
バイカースタイルの誕生には、第二次世界大戦後に生まれた、アメリカのアウトローなバイカー集団の存在が大きく影響しています。
ヘルズ・エンジェルス 引用blog.goo.ne.jp
中でも有名なのは、1948年に結成されたアメリカ最恐のバイカーギャング「ヘルズ・エンジェルス」。
ヘルズ・エンジェルスを筆頭としたバイカーギャングたちは、犯罪や事件を起こす不良集団として恐れられていた一方で、カウンターカルチャーの理想として一部の人々から支持されていました。
そんな反社会的なバイカーギャングですが、数々の不良映画の題材や参考材料になるほどのカルチャー的な影響力も高かったのです。
特に、1953年に日本でも公開された映画「ザ・ワイルド・ワン(邦題「乱暴者」)」は、不良バイカーのリアルなライフスタイルとバイカーファッションが盛り込まれており、若者に多大な影響を与えました。
ザ・ワイルド・ワンでの着こなし 引用sonypictures.jp
今では典型的なバイカースタイルである「黒のレザージャケット、ジーンズ、エンジニアブーツ」の組み合わせや、「ジーンズのロールアップにエンジニアブーツ」を合わせるコーディネートを確立させたのは言うまでもなく「ザ・ワイルド・ワン」です。
それまで作業着という認識が強かったジーンズを、バイカースタイルに取り入れたこと自体が、当時では革命だったのです。
この「ザ・ワイルド・ワン」で映し出されたバイカースタイルは、バイク乗りやバイカーギャングの支持者のみならず、ラモーンズやセックス・ピストルズをはじめとした多くのロックミュージシャンからも支持されました。
そして現代も、そのワイルドなスタイルは高い人気を誇っています。
今や一つの着こなしとして確立しているバイカースタイルですが、かつての不良バイカー集団の存在がなければ誕生していなかったのかもしれません。
代表的なアイテム
バイカースタイルの代表的なアイテムは、黒のレザージャケット、ジーンズ、ブーツなど。
ハードな印象のアイテムが多いのが特徴です。
さらに男らしさを強調するなら、大ぶりのシルバージュエリーを取り入れるのもおすすめ。
また、バイカースタイルといえば「schott」は外せないブランドです。
不良のバイク乗りが世に出てきた当時から、schottのレザージャケットは定番とされています。
ウエスタンスタイル
引用wear.jp
ウエスタンスタイルは、アメリカ西部のカウボーイをモチーフにしたスタイル。
野性的でエネルギッシュな印象を与えるデザインが多いのが特徴です。
自然や動物のシンボルを取り入れた刺繍や、粋なアクセントになるフリンジなど、ディテールにこだわったアイテムが多く見られます。
ウエスタンスタイルのルーツ
ウエスタンスタイルは、アメリカ西部にて、環境から身を守りながら牧場の仕事を手伝う「カウボーイ」の服装がルーツとされています。
その起源は、カウボーイファッションの始まりとされている1800年代まで遡ることができます。
まず、ウエスタンシャツに「ヨーク」を初めて取り入れたのが1800年代。
ヨークは、シャツに加わる重みや引っ張りに耐えるための切り替えで、乗馬の際に重要なディテールです。
また、1800年代までカウボーイの帽子といえばポーラーハットでしたが、1870年代頃までには、北軍騎兵隊で使用されて人気を博した「テンガロンハット」が定番に変わりました。
テンガロンハットには、乗馬中に馬が激走しても帽子が飛ばされないように「スタンピードストリングス」もデザインに追加されました。
パンツでいえば、1840年代のゴールドラッシュでオーバーオールが流行したことに影響されたカウボーイが、ジーンズを日常的に着用するように。
チャップス 引用pinterest.jp
そして1800年代後半には、棘のある植物や寒さなどを防ぐためにパンツの上から履く、革製の「チャップス」が初めて登場しました。
その他にも1860年代には、ネックウェアの定番であるシルクネクタイが、汗の吸収がよく砂埃を防ぎやすい「バンダナ」に変わりました。
ウエスタンファッションは、カウボーイに焦点を当て、馬に長時間乗っていても負担がかからない、動きやすい着こなしが主流になってきたのです。
このようにウエスタンスタイルのルーツは、アメリカ西部のカウボーイやライフスタイルが深く関係しているのが分かります。
代表的なアイテム
ウエスタンスタイルの代表的なアイテムは、ウエスタンシャツやウエスタンブーツ、ジーンズ、カウチンニット、テンガロンハットなどです。
ウエスタンシャツとは、アメリカの西部にいたカウボーイたちが着ていたシャツのことで、カウボーイシャツとも呼ばれています。
定番のアクセサリーは、ターコイズを取り入れたネイティブアメリカンジュエリーです。
ウエスタンを牽引する老舗ブランドといえば、カウボーイの歴史に着想を得て名品を生み出してきた「Wrangler(ラングラー)」。
ハードな仕事に耐えうるウエスタンシャツやネイティブ柄のデザインは、世界中のウエスタンファンから愛され続けています。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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