ENGINEERED GARMENTSデザイナー・鈴木大器ってどんな人?|エンジニアドガーメンツ
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
確かな日本の技術力によって、アメリカンなファッションを研鑽し続けるブランド、ENGINEERED GARMENTS。
今回は、そんなENGINEERED GARMENTSを手がけるデザイナー・鈴木大器さんとはどのような人なのか?を紐解いていきたいと思います。
今回は、
- 鈴木大器ってどんな人?
- ENGINEERED GARMENTSを形作るもの
という形で、デザイナーである鈴木大器さんのこと、鈴木さんが手がけるブランド、ENGINEERED GARMENTSのことも併せてご紹介していきたいと思います。
デザイナーを知ると、よりそのアイテムに愛着が湧くということもあるかと思います。
ENGINEERED GARMENTSのアイテムがお好きな方は、ぜひとも本記事をご覧ください。
目次
鈴木大器さんについて
鈴木大器さん 引用元
鈴木大器さんは、1962年青森県弘前市で生まれました。
現在は、ENGINEERED GARMENTSデザイナーおよび、NEPENTHES(ネペンテス) AMERICA INC.代表としてニューヨークに在住し、アメリカンファッションの第一線で活躍されています。
鈴木氏は物心ついた時から衣服やアメリカンカルチャーに興味を持っていたらしく、特に雑誌『POPEYE』は中学生以来の愛読書だそうです。
表紙から裏表紙まで、すべてのページに目を通し何度も精読していた、と本人も語っているほどですので、よほどの影響を受けたのでしょう。
また、同氏は幼い頃から洋画を楽しんでおり、それがブランドに影響を与えている部分も。
2022AWでは、ロバート・エガース監督による映画「ライトハウス」にインスピレーションを受けてコレクションを制作したとのこと。
2019年に公開されたA24の映画「ライトハウス」 引用nepenthes.co.jp
「ライトハウス」にインスピレーションを受けた2022AWコレクション 引用fashion-press.net
高校進学後は山岳部に一時入部するものの、思い描いていた部活のスタイルとは異なっていたため幽霊部員状態になったそう。
しかしここでアウトドアファッションへの関心も広がっていきます。
さらに高校2年時には、アメリカンカジュアルブランドから流行りのDCブランドへも興味が広がり、学生時代から様々なジャンルのファッションを楽しんでいたようです。
高校卒業後はなんとなくファッション業界で働きたいと思っていながらも、埼玉の大学へと進学。
しかし、ファッション業界への想いを捨てきれず、わずか半年で大学を中退し、服飾の専門学校・バンタンデザイン研究所へと再入学を果たします。
転機が訪れたのは専門学校在学中。
販売職のアルバイトとして、ユニオンスクエア社が運営するセレクトショップ、「Namsb」へと入社し、そこで後のNEPENTHES、NEEDLES代表となる清水慶三氏と出会いました。
清水慶三氏はその後、RED WINGのブーツやCHAMPIONのリバースウィーブ、Reebokのシューズ、NIKEのスニーカーなど当時としては真新しかったブランドたちを扱うセレクトショップ、「RED WOOD」の運営を担当。
RED WOOD(現在こちらの店舗は閉店) 引用timeout.jp
鈴木氏の現在の私服の9割はアーミーパンツ、だと言われていますが、そんな鈴木氏が初めてアーミーパンツを買ったのはこの「RED WOOD」だそうです。
こうしたことから両者の仲は次第に深まり、1987年にはNEPENTHES立ち上げのために退職した清水慶三氏の後釜として、鈴木氏がセレクトショップ「RED WOOD」の店長に抜擢されます。
1989年には清水氏に頼まれたことをきっかけに、アメリカ買付のバイヤーとしての生活もスタート。
居住もアメリカへと移し、ボストン、サンフランシスコと拠点を移しながら経験を積んだことが、後にENGINEERED GARMENTSへの発足へと繋がります。
現在、鈴木氏は、20世紀初頭から生地問屋や縫製工場で栄えた、ニューヨーク・マンハッタンにある「ガーメントディストリクト」にて活動されています。
なお、ENGINEERED GARMENTSは、90年代半ば、インターネットの普及とともに輸入した商品だけを売り続けるビジネスモデルに限界が見えてきたことから、清水慶三氏が手がけるセレクトショップであるNEPENTHESが生き残れるようにと設立されたブランドです。
専門学校在学中にまで遡る、清水慶三氏との出会いがなければ、もしかするとENGNIEERED GARMENTSというブランド自体、存在していなかったかもしれません。
また、鈴木大器氏は2008年、アメリカで最も活躍しているデザイナーに送られる「CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞」を受賞しました。
これはまさに、鈴木氏の功績が世界に認められた瞬間であり、日本人の作るアメリカンなファッションアイテムに脚光が浴びせられたことをも示唆しています。
鈴木氏は今日に至るまで、より一層アメリカらしさに磨きをかけた衣服を作るべく、日本人としてアメリカのファッションシーンを席巻している注目度の高いデザイナーなのです。
ENGINEERED GARMENTSを形作るもの
ここからは、そんな鈴木大器さんが手がけるブランド・ENGNIEERED GARMENTS(エンジニアドガーメンツ)を形作る特徴についてお話していきます。
ENGINEERED GARMENTSの特徴
2023SSコレクションより 引用fashion-press.net
ENGNIEERED GARMENTSは、1999年に、日本とニューヨークを拠点としたセレクトショップ・NEPENTHESから生まれたブランドです。
そのため、アメリカントラッドやアメリカンミリタリーなどアメリカ色の強いアイテムを、日本の技術力を持って高品質に再現していることがブランド一番の特徴です。
古き良きアメリカンテイストを、カジュアルで実用性の高いアイテムにブラッシュアップしたアイテムたちは、日本やニューヨークのみならず、アメリカ全土やヨーロッパにおいても厚く支援されています。
また、ENGNIEERED GARMENTSのアイテムは企画から生産まですべて一貫してニューヨークで行われていることも大きな特徴です。
メイド・イン・ニューヨークこそが、ENGNIEERED GARMENTSの魅力と言えるでしょう。
ENGNIEERED GARMENTSのアイテムは、本場のメイド・イン・アメリカを、日本人のデザイナーによる丁寧な作りで楽しむことができます。
日本やイギリス、イタリアなどの縫製の品質の高さとは全く毛色の異なる、アメリカ製ならではの個性を重んじ、「本当にアメリカらしい製品」「完成された未完成品を作ること」をテーマに、ウェアが製作されています。
ブランドへの想い
引用Instagram @engineered_garments_tokyo
ブランド名であるENGINEERED GARMENTSとは、「巧みに設計された洋服」という意味です。
そのため、ハイブランドのような派手な色使いやシルエットの製品はあまりなく、どれも実用的でシンプルな、街馴染みの良いアイテムが多い印象です。
元々のバックグラウンドがアメリカンクラシックやミリタリーですから、そうした落ち着いた配色のものも多いと言えます。
そうしたことから、落ち着いた大人や30代以上のファッショニスタたちからの評判も非常に良好で、”ENGNIEERED GARMENTSは本当の服好きが着るブランド”との印象を持たれているほどです。
また、元々はメンズブランドとしてローンチされたENGNIEERED GARMENTSですが、近年ではレディースアイテムにも注力しており、メンズレディース混合のコレクションが発表されています。
アメリカンな男臭さを持つアイテムを女性が着こなすのも、かなりおしゃれに見えることでしょう。
デザイナーへの思わぬ転向
鈴木大器さんは、今でこそENGINEERED GARMENTSのデザイナーとして活躍し、多くの人にそのデザインが受け入れられていますが、デザイナーとして服を作り始めることになった当初は「”いつかは洋服を作る”と思っていた訳ではありません。」という感じだったようです。
引用fashion-press.net
鈴木さん個人としてデザイナーを目指していたというわけではなく、ビジネス上、必然的にオリジナルブランドの展開に踏み込んだというのがENGINEERED GARMENTSの成り立ちです。
初期のコレクションより 引用fashion-press.net
元々のNEPENTHESのやり方であった「輸入したセレクトアイテムを販売する」というビジネスモデルだけでは限界を感じていたところで、会社の生き残りのために立ち上げたブランドだったのは、「鈴木大器さんについて」でもお話したとおり。
ENGINEERED GARMENTSの前にもオリジナル製品を作っていた経験から、服作りのプロセスが理解できていたことや、交流のあったデザイナーとタイミングよく協力できたことで、ENGINEERED GARMENTSというブランドは比較的スムーズに発足されたようです。
しかし、その後はなかなか苦労したようで、ものづくりに関してはまだまだ未熟な頃、なかなか自分の作アイテムを俯瞰して評価できなかったり、近視眼的なものづくりになってしまった事から、今見ると笑ってしまうようなものもあったとか。
しかし周りに素直な感想を言ってくれる人などもいて、ブランドとしてどんどんブラッシュアップされていったようです。
ニューヨークでのものづくりをするブランドとして、ここまで生き残って評価されている事について鈴木さんは、「ラッキーだった」と謙虚に捉えているようです。
ENGNIEERED GARMENTSの転機
ENGNIEERED GARMENTSは、2004年にニューヨークの展示会「コレクティブ」、イタリアの展示会「ピッティ・ウォモ」に連続して参加したことにより、脚光を浴びるようになりました。
「ピッティ・ウォモ」での様子 引用fashion-press.net
2004年当時、世界全体のトレンドとしてアメリカンクラシックが注目されていたことも相まって、日本の一ブランドから世界的なブランドへと大きく認知を広げることに成功しました。
NEPENTHES傘下のENGNIEERED GARMENTSですが、親元とは独立して名前が知れたこともあり、現在ではLevi’sやReebokとコラボレーションするなど独自での動きも盛んです。
その上、カルチャーマガジンを創設したり、ショップ全体をランウェイの会場にしたりと、通常のデザイナーズブランドの域を大きく超えた活躍が目立つ側面もあります。
様々なコラボレーション
ENGNIEERED GARMENTSは、前述したLevi’sやReebok以外にも、様々なブランドとコラボレーションしていることでも有名です。
まずは、2013年以降継続してコラボレーションしているブランドとして、VANSが挙げられるでしょう。
2022年のコラボより 引用fashion-press.net
こちらはどのシーズンのコラボも安定していることに定評があり、VANSのオリジナル性を担保しつつもENGNIEERED GARMENTS的なアメリカ・日本の構築美を両立させていることで毎シーズン完売する人気ラインナップです。
また、LOFTMANとのコラボレーションも有名です。
2014年のAWシーズンでは、ENGNIEERED GARMENTSらしい繊細なディティールを表現したミリタリージャケットが話題となりました。
オリーブグリーンやネイビーといった定番カラーでありながらも、厚めできめ細やかなコットンサテン生地は、なんともENGNIEERED GARMENTS的。
さらに、チェスターコートは下にかけて広まるAラインシルエットな一着で、大人の男性を中心にビジネスからカジュアルまで幅広く活躍できるとされ、非常に人気となりました。
またユニクロとのコラボも記憶に新しいところで、ファッション好きの間で当時かなりの衝撃があったことかと思います。
初めてのコラボは2019年でしたが、どのアイテムも即日即完となる盛況を見せました。
ユニクロとのコラボ第二弾より 引用gqjapan.jp
ユニクロの掲げる「Life Wear」を、ENGNIEERED GARMENTS的にアップデートし、洗練されたシルエットや控えめながらもしっかりと個性や上品さを出す手法が、万人に受けたと言っても過言ではないでしょう。
中でもユニクロ定番のフリースジャケットはENGNIEERED GARMENTSとの相性も良く、またポロシャツやミリタリー要素を含んだプルオーバーなども、毎シーズン人気が続くアイテムとなっています。
ENGNIEERED GARMENTSは上記した他にも、以下のようなブランドとのコラボレーションをおこなっており、どれも人気を博しています。
- Paraboot
- Schott
- Danner
- Dr.Martens
- Barbour
- New Balance
- HOKA ONE ONE
- PALACE SKATEBOARDS
- BEAMS
- SHIPS
- KEEN
- LOWERCASE
と、これもまだコラボレーションの一部で、数々のブランドやショップとのコラボレーションを精力的におこなっています。
毎シーズンの定番ラインナップだけではなく、度々起こるコラボレーションもまた、ENGNIEERED GARMENTSがいつまでも愛される一つの要因となっているのではないでしょうか。
ここまで読んでくださった方へ
今回は、デザイナーである鈴木大器さんと、鈴木さんが手がけるENGNIEERED GARMENTSについてお話してきました。
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