デムナ・ヴァザリアってどんな人?|Vetements|BALENCIAGA
引用highsnobiety.jp
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
ジョージア出身のデザイナー、デムナ・ヴァザリア。
Vetementsの創始者であり、現在BALENCIAGAのクリエイティブディレクターとして活躍する彼は、自らのバックボーンから生まれる芯のあるデザインで、「ラグジュアリーストリート」のパイオニアとも言われており、今世界で最も注目されているといっても過言ではないデザイナーです。
今回は、
- デムナ・ヴァザリアとは
- 経歴
- デムナ・ヴァザリアを形作るもの
という形で、彼のバックボーンや影響を受けた事柄などについて掘り下げてお話していきます。
目次
デザイナー、デムナ・ヴァザリアとは?
Vetements 2018SSコレクションより 引用fashion-press.net
デムナ・ヴァザリアはジョージア出身のファッションデザイナーです。
ストリートブランド「Vetements」の創設者であり、2015年からは「BALENCIAGA」のアーティスティックディレクターとしても活躍しています。
2014年に立ち上げた「Vetements」は、たった数シーズンでファッショニスタの心を掴み、「ラグジュアリーストリートのパイオニア」とも呼ばれるほどのカリスマ的な人気を獲得。
デムナは幼少期を戦時下で過ごすという壮絶な経歴を持っており、その経験から着想を得て発表されたアイテムは、ファッション業界のみならず社会的にも大きな意義のあるものとなっています。
「BALENCIAGA」のディレクターに就任後は、これまでのバレンシアガの伝統を踏襲しつつ、デムナらしいストリートのエッセンスを加え大胆なイメージチェンジを行いました。
新しいバレンシアガは若年層から絶大な支持を集め、デムナが手がけたダッドスニーカーやオーバーサイズのアイテムが大流行しました。
デムナは吹雪の中や、泥水まみれの中でショーを行うなど、その斬新なプレゼンテーション方法にも毎回注目が集まっています。
泥水まみれでおこなった バレンシアガ2023SSコレクションより 引用fashion-press.net
これはデムナによる「戦争への抵抗」「批判されても自分らしさを追求する」というメッセージが込められており、ファッションを通して世の中に対して問題提起をし続ける姿勢が高く評価されています。
2019年、自身が立ち上げたVetementsを去り、BALENCIAGAのデザインに専念することを発表しました。
BALENCIAGAという歴史あるブランドで、今後さらに躍進していくであろうデムナのデザインは世界中から注目されています。
経歴
デムナは1981年にジョージア(旧グルジア)のスフミにて誕生しました。
幼少期は1989年に勃発した「アブハジア紛争」の戦火の中で育ち、あらゆる自由や情報を制限された過酷な環境に身を置かざるをえませんでした。
旧ソビエト連邦が崩壊し、グルジアが開国した時のことを「爆発のようだった」とデムナは語っています。
その後、デムナの一家はしばらく住む場所を転々とする、流浪の生活をせざるを得ませんでした。(その影響もあってか、デムナは6ヶ国語を話す事が出来るそうです。)
2001年に家族でドイツに移住。
始めはドイツでの開放的な生活にかなりの戸惑いを感じたそうです。
その後デムナはトビリシ国立大学に進学し国際経済学を学んだ後、アントワープ芸術学院のファッションデザイン学科にてファッションを学びます。
アントワープ芸術学院 引用flickr.com
学院を首席で卒業するほど優秀だったデムナは、その後メゾンマルジェラやルイ・ヴィトンなどのハイブランドにデザイナーとして携わりました。
いくつかのブランドで経験を積んだ後、2014年にデムナのオリジナルブランドである「Vetements」を、彼の弟と共に立ち上げます。
Vetementで展開される大胆なデザインは話題を集め、デムナの名が世界的に広まるきっかけとなりました。
一件シンプルなウェアを基盤にしているのに、斬新な唯一無二の世界観を持っている「ラグジュアリーストリートのパイオニア」としてVetementsはたった数年で熱狂的なファンを抱えるカリスマ的ブランドへと成長を遂げます。
Vetementsの大ヒットがきっかけとなり、デムナは2015年にバレンシアガのデザイナーに抜擢されます。
これまでの伝統を重んじたラグジュアリーなバレンシアガのイメージから、ストリートスタイルへと大胆にブランドイメージを変更しました。
バレンシアガのデビューコレクションである2016AWより 引用fashion-press.net
この方向転換によって、これまでメインの客層ではなかった若い世代を取り込むことに成功します。
デムナがデザイナーとなってからのバレンシアガは「デムナ期」と呼ばれ、スニーカーやフーディなど人気のアイテムにはプレミア価格がつくものもあるほどです。
SNSでの発信に備えて、ブランドロゴをサンセリフ体に変更した際は他のブランドも追随するなど、常に時代の先をゆくブランドとなりました。
現在のハイブランドのロゴブームも、デムナが作り出したものといっても過言ではありません。
デムナのデザインについてーファッション業界やジェンダー観への提言
ベビーキャリーを取り入れたメンズのルック、コルセットをつけたメンズのルック バレンシアガ2023夏コレクションより 引用fashion-press.net
デムナは、「服は自己表現のためのファッション・ユニフォーム」であると語っています。
デムナがデザインを手がけるアイテムは見た目が優れていることはもちろん、デザインを通して様々なメッセージを世の中に発信しています。
デムナが手がけるショーは、荒れた吹雪の嵐の中や、泥まみれの中で行われるなどメッセージ性の強いものが多いです。
ランウェイではベビー用品を持った男性やコルセットを身につけた男性が歩くなど、ジェンダー観についても考えさせられる演出が多くあります。
デムナは自身がゲイであることを公言しており、LGBTQIA+(同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーなどを指すセクシャルマイノリティの総称)の認知と受容を促進するプロジェクトへの支援などを積極的に行うなど、ファッションを通して社会へのメッセージを発信し続けています。
2022年のバレンシアガのショーは、ウクライナでの戦争真っ只中のタイミングで開催されました。
デムナは元難民として戦争の悲惨さや愚かさを誰よりも理解しています。
ファッション業界では「戦争によって苦しむ人がいる中で、コレクションを開催しても良いのだろうか」というムードが漂う中、デムナが作り上げたショーはそんな業界人の考えを大きく揺さぶるものでした。
バレンシアガ2022冬コレクションより 引用fashion-press.net
猛烈な吹雪という過酷な環境の中、ランウェイを歩くモデルはゴミ袋から着想を得て作られたポシェット、ベルトの代わりに巻きつけたガムテープ、擦り切れたフェイクレザーのボアコートなど「再利用」と「DIY」を現したアイテムを身につけて登場しました。
一夜にして難民となり、過酷な状況の中懸命に生きているウクライナの人々を思わせるルックに感情を揺さぶられるゲストが続出。
デムナはこのショーで、ファッションを通して「愛と平和」を伝えられるということを証明しました。
デムナは、「このショーをキャンセルすることは、30年近く私にひどく苦痛を与えてきた悪に降参し、屈することを意味するであろうことに気づきました。私は、自分の一部を無意味で無情なエゴの戦争の犠牲にすることはもうできないと決意しました。このショーに説明は必要ありません。それは、恐れないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利への献身です。」と語っています。
このショーの成功は、コロナ禍からの世界情勢に対して無力感を感じていたファッション業界の人々にとっても、とても意味のあるものとなりました。
また、デムナは「ファッション業界」という、ある種閉鎖的な業界のシステムに対しても、ブランド活動を通じて抗い続けています。
大ヒットした「ダッドスニーカー」やDHL(国際宅急便会社)のパロディTシャツは、単なるパロディや破壊的行為ではなく、大量生産と消費を繰り返すファッション業界に対する強いメッセージが込められていました。
物流会社「DHL」のロゴパロディTシャツ(2016年・ヴェトモン) 引用fashionsnap.com
デムナは「ファッションの世界は本当の世界とは異なっていて、私の美学はハイパーリアリズムのようなものです。夢の中で生きるようなことに興味はないです。」と語っており、現在のファッション業界のあり方に対して問題提起をしています。
引用hypebeast.com
デムナのこうしたファッション業界への皮肉とも取れる作品には賛否両論が飛び交いますが、世界を取り巻く様々な問題に対して、人々が議論をするきっかけになっています。
デムナ・ヴァザリアを形作るもの
オーバーサイズ
バレンシアガ 2018年冬コレクションより 引用fashion-press.net
デムナが手がけるコレクションでは、オーバーサイズの服がよく登場します。
これはデムナの幼少期の思い出と深い関係があります。
難民として育ったデムナは、幼い頃から子ども用の服がなかったため、大人の服をお下がりとして着用するしかありませんでした。
故郷であるスフミでは空襲が絶えなかったため、親戚の住む首都トビリシまで、わずかな必需品を持てるだけ持って移動をしました。
父親のお下がりのジャケットを着てシャツの袖を指の先までぶら下げながら、トビリシまで約3週間、無一文で歩き続けたそうです。
この壮絶な思い出こそデムナが提唱する「オーバーサイズ」の起源であり、この経験やコンプレックスから生まれたのが「Vetements」です。
そんな幼い頃の自分の服装からインスピレーションを受けて作ったオーバーサイズのアイテムは、「メゾンマルジェラ」にて培われたバランス感覚によって唯一無二の作品となりました。
ただ大きいだけではなく、肩の落ち具合や袖や着丈など綿密な計算の上作られており、独特のデザインに仕上げられています。
「マルジェラ」から受けた影響
デムナがマルジェラに入社した頃のメゾンマルタンマルジェラ、2009AWコレクションより 引用firstview.com
「Vetements」がただのストリートブランドではなく、「ラグジュアリーストリート」と評価されたのは、デムナのメゾン・マルタン・マルジェラでの経験が大きく影響しています。
マルジェラは既存のルールに囚われず、斬新な手法でエレガントなアイテムを生み出すブランドです。
デムナは「解体」「再構築」という脱構築的なマルジェラの哲学を踏襲し、一度バラバラに切り分けた洋服を再度つなぎ合わせるという手法で、ヴェトモンのアイテムを作り上げました。
ヴェトモンの中でも人気アイテムであるクルーネックのスウェットは、前後に2つのネックラインを用いることで前でも後ろでも着られる画期的なデザインです。
デムナ自身の感性にプラスして、マルジェラで学んだ技術によって他にはない「ラグジュアリーストリート」というジャンルの確立に成功したと言えます。
WFP(世界食糧計画)
WFPコラボモデルのTシャツ 引用balenciaga.com
デムナはWFP(国連世界食糧計画)に対して、とても深い思い入れがあります。
デムナが12歳の頃、住む場所がなく山奥で困窮していた時に、WFPがヘリコプターでパンや穀物といった食糧を届けてくれたそうです。
25年という年月を経て、2018年のバレンシアガ秋冬コレクションにてデムナはWFPとコラボレーションした作品を発表。
図らずも当時自分を救ってくれた支援機関とのコラボが実現することとなり、不思議な巡り合わせを感じたと語っています。
WFPとのコラボではトウモロコシを掴む拳が描かれたWFPのロゴと『Saving lives,changing lives(命を守る、生き方を変える)』というスローガンがプリントされたフーディやキャップなどを発表。
服の色やロゴの位置などデザインの決定にWFPも関わっており、形だけではない「本当のコラボレーション」が行われました。
マクドナルド
Vetements2020AWより 引用fashion-press.net
デムナは、2020年のVetementsのコレクションをマクドナルドの店内で発表しています。
西側から流れてきた文化である「マクドナルド」に行くことは、当時のスフミの子供たちにとって最もクールなことだったそうで、デムナも少年時代にマクドナルドで誕生日会をしたそうです。
難民だったデムナにとって、マクドナルドは平和や幸せの象徴だったのでしょう。
デムナにとってファッションとは「現実に着る服」であり、社会的・文化的にインパクトを与えられるものでもあります。
ファストフード店内という前代未聞の場所で行われたコレクションでは、モデルがポテトを片手にランウェイを歩くといったヴェトモンらしい演出で話題を集めました。
ユニフォーム
Vetements2020AWより 引用fashion-press.net
ユニフォームも、デムナが手がけるコレクションにたびたび登場します。
社会主義により極端に自由を制限された幼少期を過ごしたデムナにとって、制服とは権威の象徴です。
同時に、食糧を提供してくれたWFPの人や、楽しい思い出のあるマクドナルドの店員が着ているユニフォームを見て感動した思い出からもインスピレーションを受けています。
デムナ自身も「ユニフォームに強い関心がある」と語っており、ユニフォームのもたらす強いメッセージ性を表現者として重要視しています。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださりありがとうございます。
デムナ・ヴァザリアは「Vetements」「BALENCIAGA」のデザイナーとして、2010年代〜のファッション界を変えたと言っても過言ではないほどの影響力を持っています。
幼少期の壮絶な経験から着想を得た大胆なデザインと、世界に訴えかける強いメッセージ性を持つコレクションは、ファッションという垣根を超え、様々な業界からも注目されています。
デザイナーの歴史を知ることで、よりブランドに興味を持っていただければ幸いです。
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