マルジェラ、過去の名作とあたらしい名作|Maison Martin Margiela
こんにちは。
ブランド古着のKLDです。
脱構築・アンチモードといった世界観で世界に最も影響を与えたブランドの一つ、Maison Margiela(メゾン マルジェラ)。
デザイナーが初代マルタンからガリアーノに交代した今でも、服づくりの想いは継承され多くのファンを魅了しています。
今回はそんなマルジェラのアイテムにおける名作について、マルタン時代のマルジェラを中心にご紹介していきたいと思います。
- マルジェラってどんなブランド?
- マルタンマルジェラ時代の名作コレクション・名作アイテムについて
- メゾンマルジェラ時代の名作アイテムについて
という形で、お話していきたいと思います。
マルジェラのアイテムの魅力が分かるだけでなく、デザイナーの想いやアイテム誕生までのストーリーが分かる記事となっております。
ぜひご覧ください。
目次
Maison Margielaとは
Maison Margiela(メゾン マルジェラ)は、1988年に、デザイナーのマルタン・マルジェラによってパリで誕生したブランドです。
元々は「Maison Martin Margiela(メゾン・マルタン・マルジェラ)」という名で活動していました。
初コレクションから、意図的に衣服の縫い目や構造を見せる「脱構築」や当時のトレンドに反するタイトシルエットの「アンチモード」のスタイルを展開。
古着をリメイクした「ポペリズム(貧困者風)」など常識を覆すコレクションの数々を提案し世に多大な影響を与えました。
Maison Martin Margielaは、2015年のデザイナー交代とともに現在のブランド名に変更となります。
ブランド名が変わり、デザイナーが交代しても、「マルジェラ」という概念は時を超え、変容しながらも現在も新しい提案をし続けています。
Maison Martin Margiela時代の名作コレクション
上述のように、ファッション界にそれまで無かった概念を持ち込み、数々の革命的なコレクションを展開してきたマルジェラ。
ここでは、創始者であるマルタン・マルジェラ自身がブランドを担当していた時代の、インパクトある名作コレクションの一部をご紹介していきたいと思います。
ファッション界に何度も大きな衝撃を与えてきた革新的な世界観をご覧ください。
1989年春夏〜/Trompe L’oeil(トロンプルイユ)
99SS(復刻コレクション)より 引用firstview.com
タトゥー風のボディースーツ 引用1stdibs.com
1989年春夏コレクションという初期の頃から展開しているトロンプルイユは、だまし絵をモチーフにしたコレクションです。
初期に展開したのは非常にインパクトのあるタトゥーの模様が入ったボディースーツなど。
本物と見間違える高いクオリティの作品が並び、インパクトの強さと遊び心から世界に衝撃を与えました。
また、マルジェラでは近年でもトロンプルイユの手法を活かした製品が数々展開されています。
例えばアッパーにステッチや影のプリントを施したリーボックとのコラボスニーカーなどは特に有名でしょう。
1994年秋冬/A doll’s wardrobe(ドール)
99SS(復刻コレクション)より 引用vogue.com
1994年秋冬、A doll’s wardrobe(ドール)のコレクションが発表されました。
ドール期の作品では人形に着せられた服が着想源となっており、それらを人間が着られるサイズに拡大し再構築することで生み出されています。
そのためボタン・ジッパー・ファスナーなどが非常に大きく、ドールに服を着せた時のある種の「ぎこちなさ」のようなものが表現された、唯一無二の可愛らしい衣服になっています。
また、コレクションはパリのみならず東京を含む6つの都市で同時に発表されました。
1998年春夏/Flat Garment(フラットガーメント)
98SSより 引用vogue.com
1998年春夏にはFlat Garment(フラットガーメント)と呼ばれるコレクションを発表。
通常三次元的に制作するはずの衣服をあえて二次元的に制作することで、着用していない時は完全にフラットになる点が特徴です。
マルタンは工場から折り畳まれて出荷される衣服から、平面的な服の着想を得ました。
このフラットガーメント期の作品としてはカットソー・ジャケット・カーディガンなどが主に展開され、現在も多くのファッションデザイナーの着想源になっています。
1999年秋冬/Duvet Coat(デュベットコート)
1999年秋冬に登場したコレクションがDuvet Coat(デュベットコート)です。
日本語でDuvetは「布団」であり、デュベットコートは布団に服の機能を持たせるというコンセプトで作られています。
広げるとまさに布団にしか見えないこのコートは同年のコレクションの中でも特にインパクトが強く、今も語り継がれる名作です。
また、後にMaison Margiela時代に登場する「グラムスラム」は恐らくこのデュベットコートからも着想を得ていると思われます。
2000年春夏-2001春夏/Oversized(オーバーサイズ)
2000年春夏-2001春夏に登場したOversized(オーバーサイズ)では、当時のモード界のトレンドであったタイトシルエットに反するオーバーサイズの作品を発表しました。
シャツやトレンチコートといった定番アイテムを最大200%に拡大して作成。
オーバーサイズが普及した2022年現在に見ても最先端と思えるほどのシルエットとなっており、マルタンの先見の明を感じることができるコレクションと言えるでしょう。
なお古着市場でも非常に人気があり、特にアウターに関しては非常に高額で取引されていることが多いです。
アーティザナルについて
1991年からスタートしたアーティザナルは、マルタンの創作における想いが一番反映されたラインといえるでしょう。
アーティザナルはフランス語で「職人の」という意味を表しています。
その意味の通り、アーティザナルラインではマルジェラのスタッフが世界を巡り集めたヴィンテージアイテムを解体したうえで加工し作品として生まれ変わらせています。
全て手作業で制作しており膨大な時間がかかるため、非常に作品数が少なく高価です。
現在のカレンダータグでは「0」「0、10」の数字が囲まれている衣服が、アーティザナルラインです。
アーティザナルの作品には発表シーズン・アイテムの説明・作成までの所要時間などが記されたカードが付属しており、作品の背景を知ることが可能です。
インサイドアウト(1990年代〜)
1990年代から登場したInside Out(インサイドアウト)の作品では、生地・縫い目・肩パッドなど通常衣服の裏面にあたる部分をあえて表面に見せるよう、服をそのまま裏返したように作られます。
服を解剖して内蔵を標本にして見せつけるような、非常に鮮烈なアイテムたち。
ライダースジャケットやデニムのアイテムなど、あえて馴染みの深いスタンダードなアイテムにインサイドアウトを施すことによって、強烈な違和感と共に、スタンダードなものを崩した時の色気も感じます。
この「崩し」の手法であるインサイドアウトは、元々マルタン・マルジェラの師匠にあたるジャンポール・ゴルチエから受け継いだものでもあります。
今やブランドの特徴としても当たり前になったインサイドアウトには「古い価値を壊し新しい価値を創造する」というマルタンの想いが根底にあります。
ミリタリーソックス(1991年秋冬)
1991年秋冬に発表されたミリタリーソックスは、何足もの古着のソックスを解体して繋ぎ合わせ1つのハイネックニットとして生まれ変わらせています。
ひと目見ただけでは美しいニットであり、まさかソックスからできているとは思えないほど精密に作られています。
アーティザナルラインとしてはまさに初期の作品となり、シンプルながら「再構築」の発想をしっかりと感じられる一品です。
シューレース(2009年春夏)
2009年春夏に発表されたシューレースは、シューレース(靴紐)で作られたドレスという驚きの作品です。
白と黒の二色展開となっており、400本ものシューレースにより構成されています。
斬新なアイデアというだけではなく、素肌が見えるバランスや歩行時の衣服の動きなど、ドレスの綺麗さも感じられる一着です。
シューレースを衣服の素材として使うという、常人ではなかなか思いつかない発想でもマルジェラにかかれば美しい作品になってしまいます。
レザーベルトベスト(2006年)
2006年に発表されたレザーベルトベストは、アーティザナルラインの中でも特に名作といえる希少な作品です。
何本もの古着のレザーベルトを繋ぎ合わせ、ベストとして再構築し生まれ変わらせた一品となっています。
前述のミリタリーソックス・シューレースなどから分かる通り、マルジェラは特に古着の小物を収集し衣服として再構築することを得意としています。
素材として使用したアイテムの存在感を残しつつ、新たな作品へ作り変える発想・技術には驚くばかりですね。
パイロットキャップジャケット(2005年)
2005年に発表されたパイロットキャップジャケットは世界中で集められた古着のパイロットキャップを繋ぎ合わせた作品です。
もはや芸術作品ともいえるほどの圧倒的な存在感から世界的に高い評価を受け、美術館で保管されるほどの名作です。
非常に攻めた見た目である一方、シンプルな構造で袖を切り離せるなど着やすさも考えて作られた一品であることが分かります。
「Replica」とは
1994年にスタートした新ラインのReplica(レプリカ)では「複製」をテーマとした作品が展開されました。
世界中から集めた軍モノの古着やシューズなどをマルタンが現代的に再解釈し、当時の状態を忠実に再現しながら生まれ変わらせています。
レプリカの作品1つ1つには、使用した古着の年代・生産国・機能などが記載されたラベルが貼られ、「原作」へのリスペクトが感じられる、古着を愛するマルタンの姿勢が感じられる要素となっています。
1994年に登場し、それ以降のコレクションにおいても、シーズンごとにレプリカラインの作品が発表されています。
また、マルジェラでは上記のラインを着想源として2012年からフレグランスラインを新しくスタートします。
「Replica」フレグランスライン 引用giseleweb.com
日常生活のさまざまなシーンを香りで再現したこのフレグランスラインは「レプリカ」と名付けられ、ラベルには元祖レプリカラインと同じタグが使用されています。
ジャーマントレーナー
ジャーマントレーナーはレプリカシリーズの中で最も有名なアイテムの一つであり、ドイツ軍が1970年代から使用していたトレーニングシューズをベースに作られています。
しかし世界で初めて復刻させたのはマルジェラではなく「タナカユニバーサル」という日本のシューズメーカーでした。
パリの展示会でマルタンは、タナカユニバーサルが発表したジャーマントレーナーを目にし大変気に入りました。
この出来事を受けたタナカユニバーサルは、マルジェラにジャーマントレーナーの自由な使用を許可しました。
マルジェラは大変感動し、タナカユニバーサルへのリスペクトを込めて自社の製品に「レプリカ」と名づけることとなったのです。
マルタン・マルジェラ本人期の名作アイテム
創業者であるマルタン・マルジェラがデザインの指揮をとっていた通称「本人期」では、ノーカラージャケットやエルボーパッチなど現代でも親しまれている数々の名作が誕生しました。
またタビブーツやハの字ライダースなど、ガリアーノにより後に再解釈され復刻したアイテムも存在します。
ここからは、そんなマルタン本人期の名作アイテムについて紹介していきます。
タビブーツ
1989年に誕生したタビブーツは、もはや説明不要といっても良いくらいのマルジェラのブランドアイコンといえるでしょう。
当時日本を訪れたマルタンは、地下足袋姿の作業員を目にします。
新たな靴のデザインに非常に悩んでいたマルジェラは、この足袋を着想源としてヒールの要素を加え、タビブーツを誕生させたのです。
当時ウィメンズラインのみで展開していたタビブーツは爆発的な人気を集めました。
さらに2014年にデザイナー交代によりMaison Margielaに変更後、メンズラインでもタビブーツが発表され世界中の男性から支持を受けることとなります。
また、バレエシューズ・スニーカー・サンダルなど形を変えながら進化を続け、さらにブランドのスタンダードなアイテムとなっています。
エルボーパッチニット
1990年代後期からマルジェラが発表したエルボーパッチニットは、元々はハンティングジャケットに使用されていた肘当て部分のディテールを取り入れたアイテムです。
マルジェラのエルボーパッチニットは、スウェット・カーディガン・ニットといったトップスアイテムのエルボー部分にレザーのパッチがあてられています。
アイテムにより色や素材も異なるエルボーパッチは、マルジェラらしい大人の余裕と遊び心が詰まった一品です。
また、耐久性と着やすさも高まる機能性に優れた名作でもあります。
ハの字ライダース
1998年から発表されたハの字ライダースは、現在でも定番アイテムとして愛され続けています。
初期のモデルからシーズンごとにシルエットやジップなど細かい点は改良されているものの、ベースのデザインはずっと変わっていません。
ハの字ライダースの最大の特徴は、首元から腰元にかけて八の字型のジッパーが搭載されたデザインです。
また上質なレザーを使用し、余計な装飾がないシンプルなデザインのため、トレンドに左右されず非常に長く愛用することができます。
ノーカラージャケット
ノーカラージャケットは、マルタンが大切にしていた着やすさ・快適さ・品質が詰まった名作です。
マルタンは、当時の流行であった「優雅な女性向けのアイテム」に逆らうように「一般的な女性向けのアイテム」にフォーカスしてノーカラージャケットを制作。
「最上の日常着」というテーマで作られたこのノーカラージャケットは、襟・ボタン・肩パッドなど通常のジャケットにあるべき要素が削ぎ落とされています。
まさにマルタンの掲げる「脱構築」を体現しながら、色気と上品さをあわせ持った至高の一品といえるでしょう。
ドライバーズニット
ドライバーズニットはマルジェラ設立当初から人気の定番名作アイテムです。
その名の通り、トラックの運転手が着ていたニットが着想源となっています。
運転時の快適性を高めるためにダブルジップが搭載され、動きやすさを重視してポケットなどの要素を排除。
首元の肌当たりも優しい作りになっています。
またパターンや編み方がしっかりしており耐久性が高く、毎日着ても長く使用できる点も特徴です。
エイズTee
エイズTeeは1994年から現在まで発売されている人気ロングセラーアイテムです。
メンズ・ウィメンズ両方で展開されており、毎シーズン色合いや文字が変わりながら発売されています。
その名の通り、毎年売上の一部がエイズの撲滅・患者の支援のために設立されたフランスの機関「AIDES」に寄付されています。
Tシャツに書かれたメッセージは”THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T-SHIRT BUT IT’S A GOOD START”(エイズと闘うためにすべき活動はもっとあるがこのTシャツを着ることは良い始まりだ)。
このように、チャリティー活動の一旦を担いながらも押し付けがましくはなく、ファッションとして取り入れることがいい始まりになる、というマルタンの意志が感じられるTシャツとなっています。
このメッセージを日本語、中国語、フランス語バージョンなどに翻訳されたものも限定で展開されました。
デストロイニット
デストロイニットはシンプルなニットの一部をあえてほつれさせたり、ダメージがあるような縫い方を施して作られたマルジェラの定番アイテムです。
マルジェラが得意とする「脱構築」を感じられる名作となっており「ポペリズム」の要素もあわせ持つ一品です。
一見マイナスに思われがちな「ダメージ」という要素をデザインに落とし込み、新しいトレンドを生み出すマルジェラの技巧には驚くばかりですね。
なお、現在のMaison Margielaではデストロイニットのスカーフ版アイテムも販売され人気を集めています。
Maison Margielaになってからの名作について
これまでお話したとおり、「脱構築」や「アンチモード」により世界のファッションに革命を起こし数々の名作を残したマルタンでしたが、2008年に突如引退を発表。
2015年にはデザイナーがジョン・ガリアーノに交代となり、ブランド名も「Maison Margiela」に変更となります。
ガリアーノ就任後、ブランドタグを前面に押し出したアイテムや、過去の名作を売り切るような姿勢が、古くからのファンの反感を買っていた事もありました。
しかし、そういった施策が若者を中心とした爆発的ヒットに繋がり、結果的にブランドの売上を右肩上がりに向上させたのです。
ここからは、そんなガリアーノが手がけるマルジェラの名作について紹介します。
5AC
5ACはガリアーノがマルジェラで初めて手がけたバッグであり、現在はタビブーツと並んでブランドアイコンとして知られています。
発売当初から爆発的な人気を誇っており、現在のマルジェラにおける定番モデルの一つです。
上質でシンプルながら収納力が高く、利用シーンに応じてサイズを選べる点など機能性にも優れています。
マルジェラらしい独創的なデザインに、思いきってブランドタグをデザインの主役に持ってくるという所は、ガリアーノらしい「キッチュ」さや、ややアイロニカルな部分も感じることが出来る、新旧のマルジェラのセンスを感じられる一品といえます。
グラムスラム
マルジェラのバッグとして5ACに次ぐ名作となったのが、2018年から発表されたグラムスラムです。
上質なキルトレザーで作られたフォルムは雲のようにふわふわとして高級なソファーのようで、他ブランドで類を見ない独自性を発揮しています。
さまざまな大きさ、形で展開されており、どんなコーディネートにもマッチしやすい点が大きな魅力です。
またグラムスラムもマルジェラの定番モデルとなっており、シーズンごとに色やシルエットがアップデートされ発表されています。
スラッシュディテールデニム
スラッシュディテールデニムは新しい名作として近年爆発的に流行し、入手困難となっている一品です。
特徴としては、ルーズシルエット・ハイウエスト・太ももに入ったインパクトのある切り込みです。
簡単にスタイルを良く見せることができるうえ、マルジェラらしさのあるモードなデザインが人気の秘密となっています。
あまりの人気で手に入らないため、私物のデニムの太ももを自分で切って代用品にする人も続出しているようです。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださりありがとうございます。
革新的な発想でファッション業界の色を塗り替えてきたブランド、マルジェラ。
ブランド名が変わり、新しくなっても「マルジェラ」というブランドの視点から新しい価値を提案し続けています。
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