マルジェラ期エルメスとは?|Margiela, The Hermès Years
引用anothermag.com
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
脱構築や実験的な仕様の服など、ラディカルな作風で知られるデザイナー、マルタン・マルジェラ。
そんな彼は1997年から2003年までの6年間、エルメスにおいてクリエイティブディレクターとしても活躍していました。
今回は、
- マルタン・マルジェラの任命
- マルジェラ期のデザイン
- 特徴的なアイテム
- マルジェラ期の遺産
- 「Margiela, The Hermès Years」展
- 中古市場での評価
という形でお話していきます。
目次
マルタン・マルジェラの任命
1997年、エルメスのウィメンズコレクションのクリエイティブディレクターに、マルタン・マルジェラ氏が任命されました。
マルジェラ氏はそれまで、自身のブランドであるMaison Martin Margielaで、前衛的な表現をするデザイナーとして知られていました。
大胆な解体再構築(リメイク)、脱構築、ユニークなコンセプトの表現などで、「ファッションとは?」という課題に挑戦するようなものが多くあり、その型破りな性質が注目されていました。
そんな彼が、伝統的な高級ブランドであるエルメスのディレクターになるということで、当時ファッション業界では驚きの声が多かったようです。
「マルジェラはケリーバッグを白くペイントするんじゃないか?」などというジョークさえ交わされていたんだとか。(マルジェラは自身のブランドにおいて、白いペンキでのペイントという表現を好んでいました。)
当時エルメスのCEOだったジャン=ルイ・デュマは、マルジェラが本質的には非常に高いレベルの技術者であること、また前衛的な表現をしていても、マルジェラの表現の中心にあるのは「その服を着ている女性」であること、その身体性を決して無視しないデザイナーだという事を、認識したうえでこの抜擢をおこなったということです。
何でもジャン=ルイ・デュマと出会った時のマルジェラは、ポートフォリオやムードボードではなく、次のような言葉でイメージを伝えたそうです。
「Comfort,quality,timelessness,everlasting,handmade,tradition,elegance in movement.(快適さ、品質、時代を超えたもの、永遠、手作り、伝統、動きの優雅さ)」
こういった抽象的な概念をジャン=ルイ・デュマが受け入れられたこと、マルジェラが上記のような革新的な発想を持てたことは、まさにエルメスにとって幸運なことだったといえます。
こうして決まったマルジェラの抜擢は、これまでのいわゆる「セレブデザイナー」達の華美な表現から離れ、より思慮深くクラフトマンシップに重点を置いた表現への移行の布石となりました。
マルジェラ期のデザイン
1998AWコレクションより 引用firstview.com
マルジェラのエルメスでの在職期間は、彼の前衛的なアプローチとエルメスの非の打ちどころのない職人技を融合させ、現代ファッションの文脈における“贅沢”と“スタイル”の概念を再定義することになったといえます。
デザイン面では、それまでのエルメスのイメージであった鮮やかでカラフルなカラーパレットではなく、より控えめなモノクロの配色を導入し、美しいプリントよりも、シルエットと素材の品質を強調。
このアプローチには先見の明があり、現代の「クワイエット・ラグジュアリー」の思想にも通じる、永続的な価値を持つスタイルを作り出しました。
さらに、エルメスの卓越した職人技の助けを借りて、快適さを向上させるだけでなく、伝統的な高級ウェアに革新的な要素を導入する服を製作。
例えば、縫い目の不快感を取り除くために丸く編まれたジャンパーや、取り外し可能なパーツを数多く備えたコートなど、上質なだけでなく、実用的で多用途な服を作り出しました。
エルメスでの仕事を通じて、マルジェラは“ラグジュアリー”というものを再定義し、ペースの速いファッションサイクルに対して、それに変わる価値を提案したのです。
発表するコレクション自体も、ファッション業界の急速な季節変化とは対照の、“ワードローブのゆっくりとした進化”といえるような展開でおこなわれました。
また、ランウェイに登場するモデルに関しても、プロのモデルだけではなく、路上でスカウトした人や第一線を退いたモデルなど様々な人を起用したそう。
これはマルジェラが、それまで自身のブランドでもおこなっていたことでした。
こうした“マルジェライズム”とエルメスの伝統が融合したコレクションは、現在でも非常に多くのファッション好きに愛され、中古市場でもマルジェラ期のアイテムを追い求めるユーザーは絶えません。
特徴的なアイテム
1997年から2003年に及ぶマルタンマルジェラのエルメス在籍期間は、先述のようにそれまでの“ラグジュアリー”を塗り替える革新的な内容でした。
12シーズンに及んだこれらのコレクションの中から、代表的なアイテムをいくつかご紹介したいと思います。
ヴァルーズ
カシミヤのダブルフェイス地を使ったヴァルーズ 引用anothermag.com
1999SSコレクションより 引用firstview.com
マルジェラのエルメスでのデビューコレクションとなった、98年秋冬コレクション。
その一番最初のコレクションから度々登場するデザインが、この「ヴァルーズ(Vareuse)」です。
胸元に深く切れ込みが入っているのが特徴で、ニットやジャケット、春夏シーズンにはシャツやワンピースなどでも展開されていました。
このディテールは、船乗りのユニフォームであるセーラー服から着想を得たともいわれています。
切れ込みはかなり深く、肩からするりと落とせばそのまま脱ぐ事もできるほど。
実はこのデザインは、元々Maison Martin Margielaにおいても似たディテールのワンピースを発表しており、その着想をエルメスに持ってきて進化させていったものと思われます。
メゾンマルタンマルジェラ、1996AWシーズンより 引用lovehappensmag.com
マルジェラはエルメスの任期中、度々このデザインをコレクションに登場させ、その度に洗練させていった名作といわれています。
ライナーコート
1998AWコレクションより 引用firstview.com
マルジェラらしく、ミリタリーコートのライナーをモチーフにしたコート。
生地はカシミヤやキャメルなど、高級な素材感で仕上げているものが多いです。
かなりミニマルなデザインですが、ポケット口や袖口など生地の端部分はレザーのパイピングが施されています。
現在でも状態の良い中古品は度々見られ、20万円前後で取引される名作です。
トランスフォーム トレンチコート
2003SSシーズンより 引用anothermag.com
マルジェラの革新的なデザイン性とエルメスのクラフトマンシップが存分に感じられる、変形可能なトレンチコート。
ケープと袖が一体となっており、ボディから取り外せる仕様で、ノースリーブのコートとして着てもとても格好いいアイテムです。
フロントはボタンレスになっています。
“H”のボタン
引用wowma.jp
特定のアイテムというわけではありませんが、マルジェラ期のエルメスの大きな特徴として、コートなどに使われているボタンに6つ穴が空いており、HERMESの頭文字である「H」の形に糸を通しているというものがあります。
これはマルジェラ期特有のもので、自身のブランドであるMaison Martin Margielaにおいて、4本のステッチでブランドを表していたマルジェラらしいともいえる粋なディテールです。
マルジェラ期の遺産
マルジェラがエルメスに在籍していた時代のデザインは年月が経っても古びることなく、さまざまな形で現代のファッションに影響を与えています。
エルメスでのマルジェラの仕事は、ここまでお話したように、上質さ、快適さ、時代を超越したデザインによって展開され、ハイブランドのファッションを再定義しただけでなく、「スローファッション」という現代的な価値観の基礎を築きました。
マルジェラ自身、現在はファッション業界から距離を置いています。
しかし彼の影響は、職人へのリスペクト、永続的なスタイルを目指したデザインなど、若いデザイナーにも確実に継承されています。
マルジェラのエルメス在籍は、ハイブランドのファッションが、前衛的であると同時に実用的でいられる事を示し、コレクションの考え方に影響を与えました。
また、マルジェラのエルメスでの作品は、ゆっくりとワードローブを進化させるような技法によって、従来の目まぐるしいファッションサイクルに疑問を投げかけ、結果的に、よりサスティナブルな服作りとファッションカレンダーの再考を促すことになりました。
ファッションを単なる消費ではなく、個人的な表現の一形態としてとらえる彼のビジョンは、今日のファッションを語る上で、ますます重要なものとなっています。
「Margiela, The Hermès Years」展
広告キャンペーンのイメージ 引用anothermag.com
2017年にアントワープのMoMuで開催された「Margiela, The Hermès Years(マルジェラ、エルメスの時代)」展は、マルタンマルジェラのエルメスでの仕事ぶりを直接目にできる非常に貴重な機会でした。
この展覧会では、1997年から2003年までのエルメスにおけるマルジェラのコレクションが集結し、初めて展示されました。
オレンジ、白の背景でそれぞれエルメスとマルジェラの作品を見比べることが出来る 引用madamefigaro.jp
エルメスのオレンジ、メゾンマルタンマルジェラの白というふうに染め分けられた背景に、2つのブランドの作品が展示されていて対比が楽しめる構造になっていました。
今回ご紹介した名作などももちろん展示されており、ここまでマルジェラ期のエルメスが一堂に会する機会はなかなか無いのではないかと思います。
「Margiela, The Hermès Years」展は、マルジェラの業績を称えただけでなく、ファッション界に対する彼のユニークで時代を超越した挑戦を見ることができるものとなっていました。
中古相場について
ここまでマルジェラ期のエルメスの魅力についてお話してきました。
ここでは、そんなマルジェラ期のエルメスは中古市場でどのような評価をされているのか?についてお話していきたいと思います。
結論からいうと、マルジェラ期のエルメスは25年以上の時が経過しているにも関わらず、非常に高く評価されています。
今回ご紹介したような度々コレクションに登場した名作はもちろん、それ以外のアイテムも高額で取引されています。
中古市場での購入は、「過去のコレクションをアーカイブ」するというよりは、普通に着用するワードローブとして購入する人も多く、マルジェラ氏のデザインの色褪せなさには驚くばかりです。
マルジェラ期のアイテムをフリマアプリ等で売却する際には、「マルジェラ期」というワードを入れるとより強気の金額で売却することが出来るかと思います。
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ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
活動時期から25年以上の月日が経つにも関わらず、今なお愛され、中古市場でもアイテムを探し続ける人が絶えないマルジェラ期エルメス。
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