visvimデザイナー、中村ヒロキってどんな人?|ビズビム
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
素材へのこだわりと最新技術を用い、本質を追求するもの作りで日本のみならず世界でも注目されている中村ヒロキさん。
visvim(ビズビム)の創業者でありデザイナーとして知られています。
今回は、
- 中村ヒロキさんとは
- 中村ヒロキさんの経歴
- 中村ヒロキさんを形づくるもの
という形で中村ヒロキさんについてお話していきます。
デザイナーの事を深く知ればよりそのブランドが好きになるということもあると思います。
visvimが気になっている方、ぜひデザイナーさんについてもご覧ください。
目次
中村ヒロキさんとは
中村ヒロキさん引用fashionsnap
中村ヒロキさんは「普遍的であること、後世に残るもの作り」を一貫して行う国内ファッションブランド「visvim」を手がけるデザイナー兼「株式会社キュビズム」の代表です。
1971年、山梨県生まれ。2000年にvisvimをスタート。
中村さんは幼少期から服に触れる機会が多かったことや、世界各国を旅する中で伝統的な衣装の魅力に取り憑かれ、デザイナーの道へと進むことになりました。
ヴィンテージや伝統的なアイテムに魅了される理由を紐解いていくうちに、物事を本質から理解し価値を感じ取ることの重要性に気付きました。
その価値観をvisvimのブランドコンセプトとして、「普遍的であること、後世に残るもの作り」を掲げて制作をしています。
visvim 2024SSより 引用visvim
中村さんが作るアイテムはトレンドに左右されず、いつの時代もかっこよく着れるアイテムばかりです。
その背景には、中村さんの「素材への追求」や、伝統と自然な素材の美しさを表現する「染め技術」の高さがあります。
そんなクオリティーの高いアイテムは、著名人たちも魅了しています。
藤原ヒロシ氏やカニエ・ウエスト氏らも愛用しているブランドとして有名です。
中村ヒロキさんの経歴
ここでは、中村さんの経歴を紹介していきます。
2000年 visvimを立ち上げる
引用visvim
中村さんは29歳の時「自分の着たい服を自分で作りたい」という強い願望を持っていました。
形として残る意味のあるもの作りをするために、始めはシューズを中心にvisvimを立ち上げます。
最初の展示会はカフェの一角で開催するなど、地道な努力を重ねました。
初期の挑戦は簡単ではなく、パリでのグループショーでもわずか3足の靴しか売れなかったと語っています。
しかし、その苦労も今となっては貴重な経験となり、現在は同じ志を持つ仲間と共にものを作り続けることができる幸せを感じているそうです。
visvimの立ち上げは、中村さんの個人的な疑問からでした。
「どうしてこれは欲しくて、これは欲しくないのか」という深い思考に至ったことが、ブランド誕生のきっかけとなったそう。
このシンプルな疑問を考え続けることで、年々もの作りの技法が増えても方向性は変わらない、価値のあるもの作りが続けられています。
2009年-2010年にかけて、「モンクレール V」のデザイナーを担当
モンクレールVのアイテム 引用fashion-press.net
中村さんは、モンクレールと手を組んだ新たなメンズラインのコラボレーションとして「モンクレールV」のデザイナーに就任します。
このプロジェクトでは、モンクレールの歴史を継承しつつ、中村さんの独特な感性を融合させたモダンなデザインが特徴的。
50〜60年代のアウトドアウェアにインスピレーションを得たこのコレクションは、柔らかく暖かな風合いを目指して作られています。
主にコットンやカシミヤなどの天然素材を使用し、ヴィンテージ風の見た目に加え最先端の技術による機能性や実用性、加工が施されています。
在任中に、米ホーウィン社のレザーを使用したブーツやキャップ、ソックスなど、全身をトータルでコーディネートできるアイテムを発表しました。
このコラボレーションで中村さんは、ヨーロッパのアウトドアカルチャーに着目。
実際にヨーロッパのミュージアムなどで3ヶ月間イメージソースを集め、研究しました。
引用vogue
コレクションの特徴として、当時のアウトドアウェアを再現することに重点を置き、製品洗いによって特有の風合いや暖かみを出しています。
一見シンプルながらヴィンテージのような印象を持つアイテムですが、実は最新テクノロジーによる素材加工や緻密な仕立てが施されており、高い機能性を兼ね備えています。
中村さんはモンクレールのアイテムが必要とされた文化・歴史を根底から感じ取り、独特な世界観をモンクレールVで表現。
このコラボレーションを通じて、今まで熟知していたアメリカのアウトドアカルチャーに加えて、ヨーロッパのアウトドアカルチャーも自分のものにする経験になりました。
自身のブランド以外でも、古き良きアウトドアウェアの伝統を現代的な技術と融合させ、新しい価値を創出しています。
2013-14年秋冬シーズンからウィメンズライン「WMV」をスタート
引用visvim
女性たちに内面から楽しんでもらえる製品を提供したいとの思いから、2013-14年秋冬シーズンにウィメンズライン「WMV」を新たにスタートしました。
ブランド名は「W」「M」「V」のジグザグ配置が面白いという発想から生まれました。
WMVは単に女性版の「visvim」ではなく、女性のために特別に作られたシューズやアクセサリー、バッグなど、中村さんらしい本質にこだわったアイテムをラインナップしています。
メンズアイテムを女性の体型に合わせて調整したデザインが特徴で、メンズのシーズンコンセプトと連動しながらも、ウィメンズオリジナルのデザインを提案しています。
シューズはスニーカーからロングブーツまでメンズと同様の品質で製作し、メンズライクなヴィンテージの風合いを実現。
中村さんは「経年変化を楽しむ、良いものを長く愛用するという考え方に共感する女性が増えてほしい」と語っています。
WNVはファッションを通じて新しい女性像を提案し、家族やカップルで良質な製品の価値を共有できることを目指しています。
ウィメンズラインのスタートは中村さんの理想とする、ライフスタイル全体を豊かにする製品づくりの幅が広がった出来事でした。
中村ヒロキさんを形づくるもの
中村さんの丁寧でヴィンテージ要素にこだわったもの作りは、どこから来ているのでしょうか?
ここからは、中村さんの現在を形づくるものを紹介していきます。
ファッションに興味を持ち始めた幼少期
中村さんがファッションに興味を持ち始めたのは、彼の母と叔父がファッション好きだった影響があります。
小学生の頃から特定のジーンズや服装に対して強いこだわりを持ち、13〜14歳頃には自分で服を選ぶ喜びと、それがファッションという概念につながることを自覚し始めました。
ファッションの楽しさに目覚めた幼少期の経験は、中村さんが「自分で決めたい」「自分が好きな服を着たい」という強い意志を持ち続ける原動力となっています。
中村さんの個人的なコレクション 引用visvim
また、中村さんの幼少期はアメリカのアウトドアカルチャーが日本に流入してきた時期と重なります。
この時期に、中村さんはアメリカのアウトドアアイテムやヘビーデューティなダウンジャケットに囲まれて育ち、自然とアメリカンカジュアルに惹かれるようになりました。
初めは単純に「かっこいい」と感じていたこれらのアイテムに対する興味が、次第にその背景や本質について深く考えるきっかけとなりました。
例えば10代の頃、中村さんはジュエリーブランドであるゴローズに強い憧れを持っており、なかなか手が届かないながらも17歳の頃にやっとの事で初めてゴローズのカバンを購入。
そこからゴローズ創業者の髙橋吾郎さんの持つ、本質的なマインドや技術に深く傾倒していたそうです。
このように、中村さんがファッションに対して持つ独自の価値観は、見た目だけではなくアイテムが持つ本質や背景、その目的や理由に深い興味を持つことから生まれています。
山登りのために作られたブーツやアウトドアアイテムに対しても、本質を追求し続けました。
このような妥協なき探求心は、ファッションに対して独特の感性を形成し、その後のキャリアに大きな影響を与えています。
幼少期の経験は、中村さんがファッションデザイナーとしての独自のもの作りをする上で、不可欠なものとなっています。
世界各国を飛び回って培った経験
中村さんの個人的なコレクション 引用visvim
10代の頃から世界を旅してきた中村さんは、今も変わらず空っぽのトランクを手に世界中を巡っています。
旅先で見つけた衣服や織物、伝統的な技術は、中村さんの作品に深い影響を与えてるのです。
中村さんには、実は文化人類学者のような一面もあります。
アメリカ大陸の先住民居住区や北欧の集落で見つけた衣服や織物を研究し、その染色技術や伝統的な技法を論文にまとめているそう。
これらの論文は、現代の景観の中で伝統や技術をどのように活かすかを探求し、visvimの服作りに取り入れられているのです。
中村さんは、アイヌ民族やアメリカ先住民など、現代の主流からは離れた人々の衣服や伝統工芸品にも魅力を感じています。
彼らの作品には自然との深いつながりや、生活に根ざした「目的」を持った実用性が反映されており、これが中村さんを惹きつけています。
例えば、アイヌのガラス玉で作られたネックレスやナバホ族のビーズネックレスなど、部族的な工芸品に触れることで現代社会で生活しているだけでは感じられないユニークなセンスを磨くことができるのです。
中村さんの個人的なコレクション 引用visvim
中村さんの生活は、日本と海外を行き来して忙しくされていますが、たくさんの文化に触れることでデザインに深みを与えています。
日本だけで生活していると、どうしてもルールや固定概念に縛られてしまうもの。
異なる場所での経験は視点を広げ、固定概念から解放されて、クリエイティブな発想につながると中村さんは考えます。
中村さんの世界各国を飛び回りながら培った経験は、服や靴などのもの作りで、他ブランドでは真似ができない独創的な価値を生み出しています。
visvimでの服作りは、文化や歴史、人類学的から得た知見をアイテムに落とし込んでいる創作と言えるでしょう。
「本質こそ価値がある」と考えるヴィンテージへの想い
古民家をリノベーションした自宅 引用hypebeast.com
情報化社会が進化する中で、多くの人々が「流行」や「他者の選択」に流されがちです。
しかし、本当に価値のあるものを見極めるには、自分自身の感性と価値基準に従うことが重要と中村さんは考えています。
中村さんはこの哲学を生活全般に渡って実践しています。
中村さんの、江戸時代から続く日本家屋に住み、コマーシャルメディアを一切消費しない生活様式は、一見現実離れしているように見えるかもしれません。
こういった彼の姿勢は、現代社会に対する深い警鐘を鳴らしているのです。
自分で物事を選択し判断する能力は、経験を積み重ねることで養われます。
中村さんは「Feel」と「Think」を区別し、真に感じる(Feel)ことの大切さを説いています。
感じるという感覚は「松果体」という脳の一部から来ており、この部位を磨くことで第六感や直感が鍛えらるのです。
自然に近い生活様式を取り入れることで、感覚が研ぎ澄まされ、物事の本質を捉える能力が高まると考えています。
引用visvim
visvimでは、中村さんが実際に感じてきた感性が想いのままに製品に反映されています。
中村さんは22年間、自分が心の底から良いと思えるものだけを作り続けてきました。
他のブランドやデザイナーの作品には目もくれず、自分の興味と感性だけを頼りにしています。
中村さんは自分らしくあることの重要性を強調し、流行や他者からのおすすめに左右されることなく、自分にとって「本当に良い」と思えるものだけを選択。
生活様式と仕事への姿勢は、現代社会における消費文化に対して自分らしく生きることの重要性を感じさせます。
物事の本質を見極め、自分自身の価値基準に基づいて選択を行うことの大切さを中村さんの考え方から知ることができます。
染め技術への強い想い
引用visvim
中村さんは、マシンメイドの時代にどうやったら「個」を入れられるかを考えて服作りをしています。
その一つの技法として、visvimを立ち上げた当初から「染め技術」への強いこだわりを持ち続けています。
特に天然藍を使用した染め技術は、visvimならではのアイテムが多いことが特徴的。
天然藍は美しい色味とともに、使い込むほどに生地が柔らかくなり、肌触りが良くなるという特性を持っています。
さらに、着込むことで色が擦れていき、唯一無二の風合いが生まれます。
同じアイテムであってもその人の使い方によって個性がでてくる、画一化された時代だからこそ違いが生み出されるものに、中村さんは強く価値を感じているのです。
この染めを用いる際は「天然」の染料を用いる所にも、中村さんの強いこだわりがあります。
藍染めを例に挙げると、阿波徳島産の天然藍を用いた「灰汁発酵建て」という昔ながらの手法を用いており、化学薬品が一切使われていません。
1日に染められる数も限られている技法でありながら、中村さんがこの技術にこだわるのは、江戸時代の本当の藍の色に近づけられるからと考えます。
引用visvim
この藍の色に惚れ込んだ中村さんは、天然の顔料で染めることが困難なウールやシープスキン、スニーカー、さらには撥水素材のゴアテックスまで工房へ持ち込んだそうです。
製造が難しいものは基本的に断られてしまいますが、中村さんの強いもの作りへの想いが職人の方に伝わり無理難題も実現させています。
結果として、新たな技術を手に入れた工房は取材を受けることも増えたとのこと。
このように工房が注目を浴びることは、良い職人さんや伝統技術は残り続けてほしいという中村さんの想いをつなぐ活動になっています。
他にも多くの伝統的な染め技術を用いていますが、ただ用いるだけでなく現代のテクノロジーと手仕事を結びつけることを考えて、新たな価値を作り出していきたいと常に意識しているそうです。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
自らの探究心と日本の技術に対する強い思いで、ひとつひとつこだわり抜いたアイテムを作り続ける中村ヒロキさん。
KLDでもvisvimやWMVのお買取を強化しています。
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