気になる人|編み子・真琴さん
仕事場風景と愛猫タロちゃん
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
KLD的気になる人にインタビューをする企画、その名も「気になる人」。
第1回の今回は、ニット制作の『編み子』をされている真琴さんにインタビューさせていただきました。
様々な有名ブランドでニットを制作する『編み子』さんの知られざる世界を、少しだけ覗けるインタビューになっています。
ぜひご覧ください。
お仕事について
自宅の制作スペース。机の上にあるのは編み機
ー本日はよろしくお願いします。フリーランスでニットの制作をおこなっているという事ですが、例えばどのようなブランドの制作を請け負っているんですか?
真琴(敬称略):基本的にデザイナーズブランドの制作を請け負っています。この仕事を始めた時から請け負っているのがrurumu:(縷縷夢兎)さんで、今もこのブランドのお仕事が多いです。
あとはYUKI FUJISAWAさんとか、kudosさん等も少しやらせていただいたりしています。
ニット製品に定評のある『rurumu:』 引用rurumu.jp
ーフリーランスでのお仕事は始めてどれくらいになりますか?
真琴:2019年くらいに少しずつお手伝いのような形から始めました。
ーブランドからの依頼というのはどのような経緯で受けることが多いですか?
真琴:学生の頃の知り合いの繋がりとか、インターンさせていただいたブランドの繋がりだったりとか、その時に一緒に仕事をしていた方がブランドを立ち上げたり…とかで声をかけていただくことが多いです。
ー基本的に手編みで制作をするお仕事なんですか?
真琴:そうですね、かぎ針と棒針と、あと家庭用編み機っていうのがあって、それを使っての制作をしています。
ーそうなんですね。一般的に規模感のあるブランドでも、手編みで仕上げたり制作をすることって多いんですか?
真琴:はい。何十枚という依頼が来ることもあるし、アイテムによって受注数とかは違うんですけど、私は最低ロット1枚からでも請け負っています。
ー制作のスケジュールというのはどういった感じなんですか?
真琴:例えば、年に2回のコレクション前にブランドさんからイメージとかデザイン画をいただいて、まずそのサンプル制作から始まります。その後、コレクションで発表したショーピースを実際に着る形に落とし込むこともあるので、そのサンプル制作もします。
その後受注会をして、注文が入った数でこちらに依頼がきて、納品まで半年くらいで量産の制作をしていく形になります。
今は夏ですけど、2024AWの制作をしているという感じです。
ーブランドから依頼がきてから受注会のあとの制作完了までトータルで半年という感じなんですね。
真琴:そうですね、でもブランドさんに毛糸を発注してもらって手元に届いて制作開始になるのが4ヶ月前とかだったりするので、実際の制作してる期間は3ヶ月とか4ヶ月とかっていう感じです。でもその時々によりますね。
制作に使用する道具
ーデザイナーさんから来るデザイン画やイメージ画から、『編み図』のような形に起こすのはご自分でされるんですか?
真琴:はい、イメージ画とかイメージボードのようなものがあったりとか、時には「今シーズンはこんなテーマで」のような言葉だったりするんですけど、そういったものから色合いとかをピックして編む…というような形です。もちろん「この編み図を使ってほしい」という指示があることもあります。
ーデザインはあるけど、もっと具体的な現実の姿に落とし込むという所は結構頭をひねって考えないといけないんですね。
真琴:そうですね、イメージ図を見ながら編み起こしてみて、その後で「もっとここはこういう風がいい」と言われることもあるんですけど、編んでみて送ったり写真を撮って確認取ったりしながら作っていくっていう感じではあります。
ー細かくデザイナーさんとやりとりしながら並走する感じなんですね。
真琴:はい、実際にアトリエに行って制作したりすることもあります。結構難しいなと思うのが、ブランドさんによって世界観が違うので何がOK出るか分からなかったり(笑)。「自分の感性で選んだけどこの色合いで大丈夫かな…?」とかは思ったりしますね。
ーかなりブランドへの理解が必要なんですね。
学生時代について
ー元々は学校でニットの勉強をしてニット制作の道に進んだという感じなんですか?
真琴:そうです。文化服装学院のニットデザイン科にいました。
ー文化服装学院では何年くらいニットの勉強をするんですか?
真琴:ニットデザイン科自体は3年あるんですが、1年目は布帛の勉強、2年生から専門的なニットの…棒針とかかぎ針とか編み機とかの勉強をしまして、3年生はコンピューターニットの勉強をして…っていう感じでした。
ー今のお仕事のような、ニット制作の道に進むきっかけになったものって何かあるんですか?
真琴:きっかけは本当に…ノリじゃないですけど(笑)。最初少しだけニットのOEM(※)の会社で働いてたんですけど、工場に流すだけの仕事より、自分で編みたいっていう気持ちが出てきて、ちょうどその時友達がrurumu:さんにインターンのような形で関わっていて、ニット製品の量産だったりとか、一点ものの制作で人手が欲しいという話をいただいて。そこからちょっとやってみようかなという。
※OEM=メーカーが他企業の依頼を受けて製品を代わりに製造すること
ーそうなんですね、元々編み物が好きだったりしたんですか?
真琴:元々…好きだったのかな…?でもちゃんと編んだことは無くて。高校生でファッションデザイン科に通っていた時に布帛での制作をしてたんですけど、布帛じゃなくてジャージー生地に惹かれるとこがあって「これで服作りたい!」みたいな。そこから「私ってニット製品好きなのかな?」っていう思いがあって、ニット制作の道を選択しました。
ー文化服装学園の前の高校生の頃からファッションデザインの勉強はされてたんですね。ファッションデザインの道を志したきっかけみたいなものってあるんですか?
真琴:それは…本当に勉強したくなくて(笑)
ー良いですね!
真琴:元々姉がその高校に通っていて、とにかく実技がたくさんあって、絵を描いたりデザインしたりしている所を見ていて…「良いなー」って。
ー元々結構洋服とかは好きだったんですか?
真琴:そうですね。好きだと思います。
好きなもの、楽しいこと
仕事場風景と愛猫タロちゃん
ー趣味、仕事問わずご自分でデザインされたものを制作することはありますか?
真琴:面白くなくて申し訳ないんですけど…自分でデザインはしないです!(笑)作って着たりとかもしないですね。本当にデザインは向いてないなと思ってます。文化服装学院でもやっぱりデザインとかはやるんですけど、「自分センスあんまり無いな?」って思ったりして…。
インターンとかでデザイナーさんの仕事ぶりを見るとやっぱりすごいなって思いますね。基本的にデザイナーさんが描いたものを編んで実現する方が自分的には好きかなと今は思っています。
ー制作していく中で、楽しい点と大変な点があればそれぞれ教えていただきたいです。
真琴:そうですね、やっぱり制作が終わってダンボールに入れて送り出す時が一番達成感がありますね。あとはルックとかで撮影されて見る時とかは「ここに私が作ったやつがある!」みたいな感じがあって、楽しさを感じますね。編んでいる時はもう、とにかく無心なので(笑)
真琴:大変な時は、サンプル制作とかの時は完成系が分からないまま編んで、試行錯誤しながら何回もやり直したりするので、そういうのは大変かもしれないです。
ーニット関係なく最近ハマってるブランドとか、逆にずっと好きなブランドとかがあったら教えてください。
真琴:古着とかは好きで…まぁビビッときたものは何でも着る感じです。ビューティフルピープルとかは好きですね。
ービューティフルピープル良いですよね!次は愛用品のお話を聞かせてください。
ありがとうございました!