エディ・スリマンってどんなデザイナー?|Hedi Slimane
引用wwdjapan.com
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
ディオールオムやセリーヌで、ブランドのイメージを180度変えるほどの鮮烈な感性を発揮してきたデザイナー、Hedi Slimane(エディ・スリマン)。
プレタポルテだけではなく、フレグランスやクチュール事業も手がけ、世界中に影響を与える天才です。
現在セリーヌのディレクターとして活躍している彼は、一体どんな人物なのか?ということで、今回はその人となりをご紹介していきたいと思います。
今回は、
- エディ・スリマンについて
- エディ・スリマンを形作るもの
という形で、お話していきたいと思います。
デザイナーの人となりを掘り下げ、ブランドに対する理解も深まれば、より愛着が湧くという事もあるかと思います。
ぜひご覧ください。
エディ・スリマンについて
1968年、エディ・スリマンはパリで誕生しました。
エディの母親は両親が洋服の仕立て屋だったため、パターンなしでジャケットを直すなど洋服の扱いに長けていました。
エディはそのような母親のもとで過ごし、自然と洋服が身近な環境で育つ事となります。
高校時代は、世界的な入学難易度の高さを誇るフランスのパリ政治学院を卒業した後、大学時代はルーブル学院で美術史を専攻。
1992年〜1994年には、パリのデザイナーであるジョゼ・レヴィのもとでエディはファッションディレクターとして、ファッション業界初の活動をスタートさせます。
1997年、エディはYVES SAINT LAURENT rive gauche(イヴ・サンローラン リヴゴーシュ)というラインで、イヴ・サンローランのメンズラインにおけるクリエイティブディレクターに抜擢されます。
就任直後からエディはブランド改革を掲げ、独自のシルエット・デザインを確立させていきます。
2000年にイヴ・サンローランから退任したエディは、2001年からディオール・オムのクリエイティブディレクターとして活動を開始。
メンズの洋服にロックスタイルという新たな風を吹き込むなど世界的に注目を浴びる多大な功績を残しましたが、2007年に退任。
2012年、エディは再びサンローランのクリエイティブディレクターとして就任します。
メンズ・ウィメンズの両方を担当し活動していましたが、2016年に退任。
その後、2018年から現在もセリーヌのクリエイティブディレクターとして活躍しています。
エディ・スリマンを形作るもの
若い頃から発揮された才能
モード界の革命児とも呼ばれるエディは、若い頃からその才能を発揮します。
エディは16歳の時、細身である自身の体型にフィットする服がないという理由から独学で服づくりを始めます。
当時はゼロから服を生み出すというより、古着などをリメイクして服をつくっていました。
勉学面でも優秀で、フランス屈指のエリート養成学校であるパリ政治学院を卒業。
その後はルーブル学院で服飾ではなく美術・歴史を専攻していました。
多くの有名ファッションデザイナーは、服飾関係の専門学校で服づくりの基礎を学ぶことが一般的です。
しかしエディは全くの独学で服づくりを学び、下積みを経て世界的なブランドのディレクターへと駆け上がっていったのです。
エディの経歴から、彼の天才ぶりがうかがえるでしょう。
担当ブランドごとの活動内容
ディレクターとして初デビューしたイヴ・サンローラン
1997年にエディ・スリマンは、イヴ・サンローランのクリエイティブディレクターとして抜擢されます。
この出来事は、それまで無名であったエディにとってディレクターとして初デビューする素晴らしい機会でした。
エディは3年にわたりメンズラインやジーンズラインを手がけ、ブランドの活性化に大きく貢献します。
しかしブランドがGUCCIグループに買収されたことがきっかけで、2007年にディレクターを退任。
その後ディオールでの活動を経て、エディは2012年に再びイヴ・サンローランに舞い戻ります。
サンローラン復帰後の2014SSメンズより 引用fashion-press.net
2014AWウィメンズより 引用fashion-press.net
エディは再就任当初から「サンローラン・リフォームプロジェクト」と呼ばれる改革を計画していました。
ブランドの変更・広告の見直しだけでなく、ストアデザインの監修・ウェブサイトの刷新など幅広い革新を実行しブランドの発展に大きく貢献したのです。
ロックと少年性がテーマのディオール・オム
2005SSより 引用vogue.com
2005AWより 引用vogue.com
イブ・サンローランから退任したエディはディオール・オム立ち上げに伴いディレクターとして選ばれ、2001年から活動を開始します。
就任後のファーストシーズンでエディは、当時のトレンドであったストリート・カジュアルなファッションとは相反する、タイトなシルエットのテーラードスーツを打ち出します。
衝撃的な発表に世界が震撼し、新たなトレンドが生まれることに。
2002年にはその年で最も活躍したデザイナーとして認められる「デザイナー・オブ・ジ・イヤー」として、エディは選ばれることとなります。
ディオール・オムでエディは「ロック」と「少年性」をテーマに掲げ、余計な飾りやデザインを省き、身体にフィットする衣服を打ち出し続けました。
特に、今でこそ普及している細身のテーラードジャケットやスキニーパンツなどに見られるタイトなシルエットは、エディ期でのディオールにより生み出されたものといえるでしょう。
現在も改革を続けるセリーヌ
メンズ2019SSより 引用fashion-press.net
ウィメンズ2019AWより 引用fashion-press.net
数々の名だたるハイブランドを経験したエディは、2018年にセリーヌのクリエイティブディレクターとして就任します。
エディはセリーヌで初のメンズコレクションを展開する役目を担い、ブランドロゴの変更など大きな改革を進めました。
セリーヌにおいてもエディは独自のロックテイストを取り入れたアイテムを生み出し、メンズだけではなくウィメンズコレクションも展開。
衣服だけではなくバッグや財布といった小物アイテムも手がけ、エディらしいミニマルな要素の中にエレガンスがあり、エッジの効いたデザインのものが多くなっています。
セリーヌにおいても「エディ節炸裂」といった感じの個性的かつエレガントなファッションは若い世代にも支持され、熱狂的なファンの一部は「エディ系男子」という愛称で親しまれることとなります。
現在もなおエディによって改革が続くセリーヌは、世界中から熱い視線を集めています。
エディ・スリマンと後継者たち
エディ・スリマンがイヴ・サンローランとディオール・オムの退任後、2名の後継者が誕生しました。
両名ともベルギーのデザイナーという共通点があり、現在では世界的に影響を与える人物となっています。
そんな2名の後継者について見ていきましょう。
クリス・ヴァン・アッシュ
クリス・ヴァン・アッシュは、1976年ベルギーに誕生します。
1998年には、世界三大服飾専門学校として名高いアントワープ王立美術アカデミーを卒業。
卒業時に発表したコレクションがきっかけで、エディ・スリマンのアシスタントとして活動することになります。
自身でもブランドを立ち上げており、2005年には初コレクション「クリスヴァンアッシュ」を発表。
その後エディがディオール・オムを退任してから、2008年春夏よりクリスが後継者として就任しました。
当初からクリスはエディと違う提案を行い、それまでのロックな印象から一転、クラシカルで上品なイメージの作品を生み出します。
DIOR HOMME 2010AWコレクションより 引用wwdjapan.com
さらにクリスはディオールを通して、ハイブランドにストリート・スポーツの要素を取り入れた先駆者でもあります。
クリスは10年以上ディオール・オムを率いて活躍しますが、2018年に退任し同年にベルルッティのディレクターに着任することに。
しかし2021年にはベルルッティからも去り、今後のスケジュールは明かされていません。
アンソニー・ヴァカレロ
アンソニー・ヴァカレロは、1982年ベルギーに誕生します。
2006年には、アントワープ王立芸術アカデミーに肩を並べるラ・カンブル視覚芸術高等専門学校を卒業。
その後フェンディやシャネルのデザイナーとして有名なカール・ラガーフェルドのもとで働いた後独立します。
2008年、自身初のブランド「アンソニー ヴァカレロ」を開始し、衣服を再構築したデザインで世界から高い評価を受けます。
2015年からはヴェルサス・ヴェルサーチェのクリエイティブディレクターに着任するも、2016年には退任しサンローランのクリエイティブ・ディレクターに抜擢されます。
アンソニーは、エディとは異なる独自のカッティング・テーラリング技術を遺憾無く発揮し、新たなサンローランをつくり上げます。
Saint Laurent 2020SSコレクションより 引用fashion-press.net
現在も活躍するサンローランでアンソニーは、着る人のヴィジョンや夢を築き上げる作品を生み出そうと活動しているのです。
ミュージシャンとの関係性
エディ・スリマンは音楽から多くのインスピレーションを受けており、エディのクリエイションにとって音楽は非常に重要な要素です。
そのため、エディは多くのミュージシャンと協力し作品をつくり上げることが少なくありません。
例えば2000年〜2007年までのディオール・オム時代では、デヴィッド・ボウイやキース・リチャーズといった世界的スターの衣装作成を担当。
ディオールオムの衣装のデヴィッド・ボウイ 引用vogue.co.jp
2012年〜2016年のサンローラン時代では、マリリン・マンソンなどロックスターがコレクションのアイテムを着た広告を発表します。
SAINT LAURENT2013年の広告より、マリリン・マンソン 引用vogue.co.jp
同年の広告より、キム・ゴードン(元Sonic Youth) 引用vogue.co.jp
この2013年のサンローランの広告では、上記の2人の他にもアリエル・ピンク、コートニー・ラブなどがフィーチャーされ、エディ自身が撮影も担当しています。
このような名だたるミュージシャンとの関係の中でも、特にエディに影響を与えた人物がThe Libertinesのピート・ドハーティです。
The Libertines 右から2番目がピート・ドハーティ 引用universal-music.co.jp
エディはピートの熱狂的なファンであり、ステージ衣装を手がけたり、2年間ピートの写真を撮り続けて写真集を発表しました。
また、エディは自社の利益・演出のためだけにミュージシャンと協力するのではありません。
世界的に注目されるショーで音楽を活用することで、新たなジャンルの音楽・アーティストを世界に発信し支援する目的があるのです。
フォトグラファーとしての活動
個展「サン オブ サウンド」の様子 引用highsnobiety.jp
2007年にディオールとの契約が終了した後、エディは一旦デザイン関連の仕事を止めてフォトグラファーとしての本格的な活動に専念することとなります。
エディが写真に興味を持ち始めたのは11歳からで、当時からカメラで色んな写真を撮ることが好きでした。
ブランドのディレクター・デザイナーを務めている間も、エディは独学で写真の勉強を続けます。
サンローランのデザイナーを担当していた頃は、自らがブランドのキャンペーンのフォトグラファーとして活躍。
また、写真集の発売やブログでの発信など多方面から注目を浴びています。
2011年には中国で「SUN OF SOUND」という個展を開催するなど、フォトグラファーとしても世界中から実力を評価されています。
今後はファッション業界だけでなく、フォトグラファーとしてエディ・スリマンの名を目にする機会が増えることでしょう。
エディ・スリマンが生み出した名作
エディ・スリマンが担当したさまざまなブランドで、多くの名作が誕生しています。
ここではその一部をご紹介していきます。
サンローランの名作
ライダースジャケット
サンローラン復帰後の2013AWより 引用wwdjapan.com
90年代後半のイヴ・サンローラン時代にエディが生み出した名作がライダースジャケット。
エディのデザインのイメージそのまま、ロックでありながらエレガントさも持ち合わせている一品です。
柔軟で着心地の良いラムレザーを使用し、エディ本人も愛用していた名作です。
エディがサンローランを退任した後も、ライダースジャケットは形を変えながら定番アイテムとしてサンローランで展開していく事となります。
ハーネスブーツ
現在は街でも見かけるメンズのヒールブーツは、サンローランによって広まったといえるでしょう。
レザーのハーネスというハードなモチーフをあしらった「ハーネスブーツ」はエディらしいセクシーさの感じられるアイテムです。
もとはトム・フォードによりデザインされましたが、エディが独自の解釈で再デザインし大ヒット商品となりました。
ディオール・オムの名作
デストロイコーティングデニム
デストロイコーティングデニムベスト (DIORHOMME 2004SS ストリップ期)
デストロイコーティングデニムは、デニムをズタズタに引き裂き全体的にラバーコーティングを施した衝撃的な名作です。
エディ期のディオールの特徴である「ロック」や「少年性」をまさに感じられるアイテムとなっています。
スモーキングジャケット
エディ自身も愛用のスモーキングジャケット 引用farfetch.com
エディ期のディオールで最も人気のあるジャケットといえるのが、スモーキングジャケットです。
元々はタバコを吸う時のためのジャケットとして、タキシードが生まれるよりももっと前から存在していた服装だそうです。
特徴としてはラペル部分がサテン生地になっており、普通のジャケットよりもドレッシーな雰囲気が感じられます。
エディ流にそのスモーキングジャケットを再解釈し、色気のあるアイテムに仕上げた一品となっています。
セリーヌの名作
16(セーズ)
16(セーズ)は丸みのある女性的なシルエット・最高級のレザー素材・美しい南京錠が特徴で、実用性も備えたセリーヌを代表するバッグです。
2019SSコレクションより登場した、エディがセリーヌで初めて手がけたバッグとなります。
名前の由来は、セリーヌのアトリエがある番地。
デザインも、セリーヌの60年代のアーカイブバッグから着想を得るなど、ブランドへのリスペクトが感じられる一品です。
C(セー)
こちらもメゾンの過去のアーカイブから着想を得て作られたバッグです。
70年代のアーカイブモデル「クロージャー」を元ネタとしてエディが再解釈。
クラシカルな印象のキルティング素材を使用し、「C」をかたどった金具や、ややボリュームのあるチェーンがクラシカルで、「上品ながらも強気なレディ」といった風情で、エディ風味を感じる一品となっています。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで、世界的な影響力を持つエディ・スリマンの輝かしい経歴についてお話してきました。
独学で服づくりを学び、類い稀なる才能でモード界に革命を起こしたエディ。
この先もセリーヌで、さらに先にはもっと様々なブランドで個性を発揮していくであろうエディというデザイナーを、私たちも古着屋という立場から注視していきたいと思います。
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