「裏原宿文化」とは?|入門編
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
日本のファッション史を語る上で外せないキーワード、「裏原宿」。
「知っているようで詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか?
今回は、
- 「裏原文化」って何?
- 主要人物
- 伝説的ショップ「NOWHERE」
- その他の裏原の主要ブランド
- なぜ裏原文化は白熱したのか?
- 現在の裏原宿
という形でお話していきます。
いまさら人には聞きにくいけど、改めて知りたい!という方にぜひお読みいただきたい記事です。
目次
「裏原文化」って何?
引用:sumally.com
まず、大前提として「裏原」とは何なのか?ということについてお話していきたいと思います。
主に裏原系とは、1990年から2000年代にかけて一大ムーブメントを引き起こしたファッションのことを指します。
パンクやヒップホップ等の音楽や、スケーター文化などのカルチャーと融合したファッションが特徴で、基本はアメカジを源流としたものですが、尖った文化とのミックスにより唯一無二のジャンルとなったものです。
当時、裏原系ファッションは若者から絶大な支持を受けており、ブームのピーク時には、ショップに行ってもほとんどが売り切れで、なかなか手に入らないアイテムが多数ありました。
人気アイテムはプレミア価格で転売される事などもあり、レアなアイテムを求めて朝早くからショップの前に行列ができていたそうです。
現代とは違い、ネットショッピングが盛んではなかったため、実際にショップへ足を運ばないと手に入らないのが当たり前でした。
ちなみにいわゆる「裏原」、裏原宿は竹下通りから明治通りをまたいだ先のキャットストリート沿いの南北に伸びたエリアの事を指します。
引用:google
ここは道がくねくねと入り組んでおり、少々不便であることからテナント等の賃料が安く設定されており、竹下通りでは賃料が高く自分の店を出店できない若者が集中したことが裏原宿形成のきっかけになったと言われています。
主要人物
左からNIGO、藤原ヒロシ、高橋盾 引用:MIMIC
裏原がストリートウェアの聖地と呼ばれるようになったのは、ある人物達の力が大きく働いています。
それは藤原ヒロシ、高橋盾、NIGOという3人です。
この伝説的な存在がいなければ、日本のストリートシーンというものは今と全く異なっていたでしょう。
彼らの出生や来歴、現在の活動などは3人とも別記事にて詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。
この3人がどのように絡み合い、裏原を発展させたか少しだけお話します。
全ての始まりは、18歳の藤原ヒロシが1981年に上京したことでした。
上京後すぐに彼は、東京の音楽やファッションシーンに夢中になります。
その後、あるきっかけがあり、藤原ヒロシはロンドンなどといった海外の都市を訪れて最先端の音楽とファッションに対する知見を深めました。
また雑誌「宝島」で「LAST ORGY」というコラムを毎月掲載し、これを通じて自身が海外で経験したことや最先端の音楽やファッションといったあらゆる情報を日本の若者に向けて発信。
結果としてそのコラムは大変人気を博し、深夜番組にもなったほどでした。
その後、藤原ヒロシは自身の大ファンであるNIGOと知り合い、一緒に仕事をするようになります。
ちなみに藤原ヒロシとNIGOが出会うきっかけを作ったのが、undercoverの創設者である高橋盾です。
NIGOと高橋盾は後に「LAST ORGY」を引き継ぎ「LAST ORGY2」の連載をスタート。
この事は後に裏原をさらに発展させる事になりました。
「LAST ORGY2」開始の際の紙面より
引用:MIMIC
伝説的ショップ「NOWHERE」
引用:sumally.com
裏原文化全盛期、裏原宿エリアには様々なショップやブランドが生まれることになります。
なかでもとりわけ有名なショップはやはり「NOWHERE」でしょう。
「NOWHERE」は、藤原ヒロシの下で仕事のコツを掴んだNIGOと、その友人であるundercoverのデザイナーの高橋盾がオープンしたショップです。
1993年にオープンし、当時の裏原宿の中心的な存在としてシーンを牽引していたショップとして伝説的な存在となっています。
このショップで取り扱われたアイテムは多岐に渡ります。
undercoverのアイテムとNIGOが手がけたアイテムが並ぶのは当然として、他にもアメリカのヴィンテージアイテムや、現在は「cavempt(通称C.E)」のデザイナーとして活躍するSk8thing(スケートシング)が手がけたアイテム、WTAPSのアイテムなども取り扱いがありました。
その他の裏原の主要ブランド
裏原系には他にも様々なブランドが存在しています。
代表的なものをいくつかご紹介していきましょう。
GOODENOUGH(グッドイナフ)
15AWルックブックより 引用 spreadinc.net
GOODENOUGHは、裏原宿文化が生まれる前夜ともいえる1990年に、藤原ヒロシ、Sk8thing、岩井徹、水継の4人で立ち上げたブランド。
裏原系ストリートブランドの先駆けとも呼ばれています。
最初はStussyを雛形として高品質なストリートウェアを展開。
当時は藤原ヒロシの名前を伏せた状態で販売していましたが、それにも関わらず商品は即日完売していたそうです。
名前を隠した理由は、「服本来を見てもらえずに、買ってくれる人たちは買ってくれるし、嫌っている人たちには無視されそうだから、それを無くしたくて名前を出さなかった」と語っています。
あとで詳しく解説しますが、アパレルブランド同士のコラボを初めて行ったブランドとも言われており、誰もが知る「PORTER」とコラボレーションを行いました。
1990年からスタートし2017年には惜しまれながらもブランド終了することになりましたが、いまでもファンが多く中古市場ではプレミア価格がついてるものも少なくはありません。
A BATHING APE(アベイシングエイプ)
引用:imn.jp
97年のイベント「WORLDWIDE APEHEADS」より 引用:sabukaru.online
1993年にNIGOがスタートさせたブランド。
エイプパターンのカモフラージュ柄や、ロゴの入ったTシャツなどは誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
裏原宿系のブランドの中では結果的に一番ビッグな規模感となったブランドで、ミュージシャンやセレブを使ったマーケティングによって、90年代後半から2000年代には世界中を席巻していました。
以下の記事に、A BATHING APEとNIGOについての詳しい記載をしています。
UNDERCOVER(アンダーカバー)
高橋盾と一之瀬弘法が創業したストリートブランド。
いわゆる「ストリート系」ではなく、パンク要素を押し出したブランドとして長年人気を博しています。
裏原宿のストリートから始まり、今や日本を代表するモードブランドとしてパリファッションウィークの常連となっています。
熱烈なファンが多く、アーカイブアイテムは高額で販売されていることもしばしば。
こちらも別記事にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
BOUNTY HUNTER(バウンティハンター)
岩永光がデザインしているブランドで、パンクロックスタイルが特徴です。
岩永光はUNDERCOVERのデザイナーの高橋盾と、「東京セックスピストルズ」というパンクロックバンドに参加していました。
その影響からかアイテムもパンクロック調のアイテムが多く、さらにはアパレルだけではなくトイや雑貨なども販売していることが特徴的です。
1995年にBOUNTYHUNTER原宿店をオープンさせ、その際にSk8thingがデザインしたオリジナルフィギュアを販売したところ即完売したことも有名な話ですね。
近年ではsupremeとコラボしたりと、話題になっていました。
NUMBER(N)INE(ナンバーナイン)
2005SSシーズンより 引用:firstview.com
1996年に宮下貴祐が創業したブランドで音楽にインスピレーションを大きく受けているブランドです。
ブランド名はビートルズが1968年に発表したアルバムの中の一曲である「レボリューションナイン」から取られています。
UNDERCOVERと同じくパリファッションウィークに参加したブランドで、カルト的人気を誇りました。
アーカイブアイテムは今でも高額で取引されており、裏原を生きた人は誰もがナンバーナインの「グランジデニム」を欲しがったと言われています。
2009年には宮下貴祐はブランドの解散を発表しています。
“終了”ではなく“解散”という言葉を使ったのはナンバーナインというブランドをあくまでロックバンドに見立ててのことでした。
宮下貴祐が離れ、2010年からは新体制のもとでブランドを継続することが表明されています。
WTAPS(ダブルタップス)
2017年発売のアーカイブブックより 引用:houyhnhnm.jp
西山徹が1996年に創業したブランドで、ミリタリーウェアが多いのが特徴です。
コンセプトは「Placing things where they should be (あるべきものをあるべき場所へ)」。
現在でも展開は続いており、日本人のみならず、多くの人を魅了しています。
近年ではNEW BALANCEとのコラボシューズの展開で大きな話題になりました。
コラボレーションは裏原が生んだ?
GOODENOUGH × PORTERのDJバッグ 引用:aucfree.com
アパレルブランド同士とのコラボレーションは、現在ではとても一般的になっており多くの人に馴染みがありますが、90年代においてはそうではありませんでした。
いわゆる「コラボ」を最初に行ったのは、先ほども説明した「GOODENOUGH」です。
1995年に、吉田カバンの「PORTER」にDJバッグを作ってもらったのが始まりで、その頃の藤原ヒロシには「コラボレーション」という感覚はなく、自分がポーターをよく使っていたので「作ってもらえたらいいな。」というくらいの感覚だったそうです。
藤原ヒロシが改めてコラボに注目したきっかけは、様々なカルチャーへの知見を深めるためにNYのティファニーに行った時です。
ティファニーの店舗にロレックスなどが置いてあり、不思議に思っていると、「ティファニーが認めた一流ブランド」にオーダーしてティファニーの刻印を付けて販売しているということを教えてもらったそう。
それがとても印象に残り、こう考えたそうです。
「自分たちで一から何かを作ってもいいけど、すでにいいものがあるからそれをアレンジしたほうがいいものができるのではないか?」
それ以降「コラボ」は裏原を中心に流行し、現在ではハイブランドもコラボを積極的に行っているのが現状です。
藤原ヒロシをそのことについて、「一度で二度美味しい感覚をハイブランドも気づいたのかも」と話しています。
なぜ裏原宿はそこまで白熱したのか
引用:MIMIC
ここまで裏原宿文化が誕生し、白熱してきた様子をお話してきました。
なぜ「裏原宿」というひとつの文化がここまで白熱していたのか?
やはりいくつかの要因としては、時代的な情報の少なさ故の爆発力と、いつまでもどこか「アンダーグラウンド」感が漂っていた文化的な魅力かと思います。
当時は当然、インターネットが一般的ではなく、ファッション好きが触れられる情報といえば雑誌やテレビといったものが主流でした。
その中で藤原ヒロシが「LAST ORGY」を連載し、徐々にカリスマへと登り詰めていった結果の影響力は、現代のSNSがコミュニケーションの主流の世界からは想像もできないくらいの大きさがあるといえます。
当初「GOODENOUGH」を自身のブランドだと公言はしていませんでしたが、自分の連載の中などで積極的に身につけていたそうで、「藤原ヒロシが身につけているもの」に常に注目していた当時のファッション好きたちへの強いアピールは裏原ブームの着火剤としては十分すぎるものだったのではないでしょうか。
また、当時の裏原宿のショップで(意図的にかそうでないかは不明ですが)、「欲しくてもなかなか手に入らない」という絶妙な供給量はファッション好きの心に火をつけ、裏原宿ブームの盛り上がりに一役買ったといえます。
なかなか手に入らないレア物を着れば仲間内でヒーローになれるということもあり、ファッション好きたちはこぞって店頭に並び、時には転売されて大幅に金額が上乗せされたものを購入していました。
そのような絶妙な“アングラ感”が、結果的に裏原宿ブームを盛り上げ、爆発的な人気を生んだのではないかと思います。
現在の裏原宿
2021年時点のキャットストリート 引用:wwdjapan.com
90年代には爆発的な人気を博し、様々なカルチャーを産んだ原宿でしたが、2000年に入ると大衆化が進み、ブランドの路線を変えたり終了していくブランドも多数ありました。
現在、裏原宿からはその頃の店舗の大半が消え、現在はスニーカー系のショップや様々な新しいショップが入居しているようです。
“裏原”は完全に終わったと言う人も多かった中、近年では現代の裏原系ファッションとも言える「Y2K」ファッションが大流行しています。
Y2Kとは、2000年代前後に流行した服や着こなしを現代風に昇華したファッションで、当初は女性に大人気でしたが、今では男性にも人気があります。
今回は紹介しきれなかった裏原時代に創業されたブランドのアイテムも、中古市場ではじわじわと価値があがってきたりもしています。
裏原宿系ファッションも、一部のコアな若年層の間でリバイバルブームを迎えているともいわれており、より「あの頃」が再注目され、全盛期の裏原時代のように盛り上がるかもしれません。
ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
日本の独自のストリート文化として発展した裏原宿文化。
今後、よりリバイバルで再注目されていくのが楽しみな文化といえます。
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