マメクロゴウチのシーズンテーマ解説 【2011~2015まで】|Mame Kurogouchi
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
ユニクロとのコラボレーションでも話題になったMame Kurogouchi(マメクロゴウチ)。
デザイナー、黒河内真衣子さんの独特な感性で紡ぎだされる、繊細で力強い世界観が人気のブランドです。
ブランドとしては2010年、前身ブランドである「mame(マメ)」をスタートするところから始まりました。
マメクロゴウチはブランド立ち上げの翌年である2011年春夏シーズンより、シーズンテーマを設けてコレクションを発表しています。
毎回、黒河内さんのフィルターを通した様々な美しいものがデザインとして表出する世界観は、各シーズンに設けられたテーマも相まって唯一無二のものとなっています。
今回は、ブランドの黎明期ともいえる2011年のシーズンテーマから、2015年のものまで、
- シーズンテーマのタイトル
- デザインの特徴など、そのシーズンの説明
- 各コレクションの写真
というような形で、各シーズンテーマを解説していこうと思います。
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目次
マメクロゴウチ独自の時の流れ
まず、マメクロゴウチのコレクションを発表するシーズンへの向き合い方についてお話させてください。
マメクロゴウチのようなプレタポルテ(既製服)を展開するブランドのコレクションは、2月〜4月までと9月〜12月までの年に2回、それぞれ3ヶ月にわたって世界5都市の各地で開催されます。(春夏(SS)、秋冬(AW)と呼ばれるものです)
一般的なブランドは、春夏、秋冬のそれぞれのコレクションで違ったテーマを用意することが多いとされています。
しかし、マメクロゴウチの場合は、シーズンによって年に1回、春夏と秋冬で全く同じテーマを設け、1年をかけてゆっくりとテーマを掘り下げていくようなスタイルをとることがあります。
春夏、秋冬で違ったテーマを設けることもあるのですが、どこか緩くテーマ同士がつながっているような所もあったりなど独特です。
黒河内さんは、せわしないファッション界の移り変わりとは違うマメクロゴウチ独自の時間の流れ方を意図的に作りだし、コレクションを展開しているといえるでしょう。
2011年~2015年のコレクションテーマ
ここからは、少しずつではありますがマメクロゴウチの2011年から2015年のコレクションテーマをご紹介していきます。
2011SS/AW「現代社会における戦闘服」/テーマ不詳
mameが最初のテーマとして打ち出したのが「現代社会における戦闘服」です。
前時代的な女性像における「女らしさ」への反発を表すようなコレクション。
「自己実現のために目標を掲げ、仕事を全うし、夢を描き、恋をする「現代の女性」のためのコレクション」ということで、女性デザイナーとして戦いの狼煙を上げるような勇ましいテーマのコレクションです。
春夏シーズン
春夏シーズンは「現代社会における戦闘服」がテーマ。
デザイン自体は、mameが当初から得意としていた独特なカッティングなどで鎧のような雰囲気を出しながらも、使用している生地自体は柔らかなシフォンや透け感のあるレースのような物が多く、女性のたおやかな強さを表現しています。
また、ブランドを代表するアイテムであるPVCバッグもしっかりとルックに組み込まれています。
引用元:Fashion Press
秋冬シーズン
秋冬シーズンは、残念ながらシーズンテーマが判明しませんでした。(判明次第追記いたします。)
ルックは夜を思わせる背景の中で、深いネイビーとくっきりした赤のコントラストが印象的なものになっています。
袖のみをレース生地に切り替えたワンピースや、透け感のある生地で柄を透かせたりなど、この頃から充分に「mameらしさ」を感じるコレクションとなっています。
引用元:Fashion Press
2012SS/AW「日常の中での想像の旅」
2012年のコレクションは1年を通して1つのテーマを掘り下げるスタイルでの展開でした。
テーマは「日常の中での想像の旅」。
一冊の雑誌や、都会に生きる日常の中で目に入って来る風景からインスピレーションを得た「どこかに行きたい」、そんな心情を感じるコレクションになっています。
春夏シーズン
SSのコレクションは、なんと一冊の雑誌をデザイナーの黒河内さんが読み込み、その情報のみで仕立てたコレクションです。
読み込んだ雑誌というのが「TRANSIT 11号」というもので、旅に関する情報誌となっています。
「日常の中での想像の旅」というテーマそのまま、実際に旅をすることなく雑誌の情報のみでデザインを作っています。
しかし本当に旅先の空から切り取ったような鮮やかなブルーが印象的なコレクションで、ルックも旅先の湖のような場所で撮影したものとなっており、このコレクション写真だけで想像の旅が出来そうな仕上がりになっています。
旅の情報だけではなく、雑誌という物自体のテクスチャー的な感覚も切り取っており、タイポグラフィの黒い線をデザインに落とし込んだり、紙自体の質感を生地で表現したりなど、ユニークな試みにチャレンジしているコレクションでもあります。
引用元:FASHIONSNAP
秋冬シーズン
AWシーズンも引き続き「日常の中での想像の旅」がテーマ。
雑誌の情報を使った春夏のコレクションから一転し、秋冬コレクションは満員電車の中から見える紫色の夕焼け、都会のなかにそびえ立つグレーのビルなど、日常の中のふとした瞬間をフォークロア調のデザインと融合させています。
着た瞬間に日常の風景と旅先の風景が繋がるような、どこかに連れて行ってくれるようなコレクションになっています。
ルックは雪山のような風景をバックにモデルが直立しており、どことなく「ここではないどこか」を想起させるものになっています。
引用元:FASHIONSNAP
2013SS/AW「あなたの思い出」
この年も1年を通して「あなたの思い出」というテーマでコレクションを展開。
「あなた」が誰を指すのかは明確にはわかりませんが、古い写真から想起したデザインの数々や、白昼夢のような淡い色合いの中にノスタルジーを感じるような内容になっています。
春夏シーズン
春夏シーズンは、石川県の家具屋で見つけたという50枚の写真をデザインソースにアイテムを制作しました。
50枚の写真にはそれぞれ人物が写っており、その人物達のためのデザインということでちょうど50型を作ったそうです。
デザインはどこかクラシックな雰囲気を感じる要素や、ヴィンテージ感のあるものなどで構成されており、ルックの背景に写る森や野原のような場所と相まってなぜか懐かしい気持ちにさせる、そんなコレクションになっています。
引用元:FASHIONSNAP
秋冬シーズン
秋冬も引き続き「あなたの思い出」をテーマにコレクションを展開。
春夏のルックに比べ、やや白飛びするくらいの明るい雰囲気の写真の中で、白、グレー~黒~ブルーと色が連なっていく展開になっています。
背景も併せて淡いグレーやブルーの雰囲気が強い写真の中で、ぱきっとした黒色と、黒のコーディネートの中に小物で効かせた赤がアクセントになっていてインパクトがあります。
引用元:Fashion Press
2014SS/AW「personal memory」
2014年は、長野の山奥で祖母と過ごした日々に着想を得た「personal memory」というテーマで、1年を通してコレクションを展開しました。
黒河内さんはこのコレクションを制作するにあたって、実際に祖母のところに訪れ、庭に咲いていた花や家の絨毯など、昔の「思い出」を集めてファッションに落とし込んだそうです。
誰でも記憶のどこかに眠っていそうな、「実家やおばあちゃんの家の思い出」ともいえるようなノスタルジーを美しいデザインに昇華しており、アイテム毎に、見ていて「あー、ちょっとわかる…」となるような日本の古い家の雰囲気があります。
春夏シーズン
庭に咲いていた花をスケッチしたという花柄のアイテムや、旅館の浴衣をモチーフにしたという和服のような古風なストライプのワンピースなど、どこかに懐かしさや素朴さを感じられつつも野暮ったくはなく、洗練された印象のアイテムが多い春夏シーズン。
ルックの写真も黒河内さんの故郷である長野県で撮影したものだそうで、霧ヶ峰という火山地帯をバックに、霧の多い風景から徐々に霧が晴れていって山の景色が明瞭になっていくさまが楽しめる仕掛けになっています。
引用元:Fashion Press
秋冬シーズン
秋冬シーズンも、春夏と同じく祖母との思い出に着想を得たシリーズを展開しました。
祖母の家の蔵から出てきたという九谷焼の器の手触り、色合いなどからインスピレーションを得たものや、祖父と祖母が出かけた鳴海海峡の思い出話などをファッションに昇華。
祖母と改めて時間を過ごすことで祖母の誠実さ、謙虚さなどに影響を受けたという黒河内さん。
祖母への愛とリスペクトを強く感じるコレクションとなっています。
引用元:Fashion Press
2015SS/AW「passing」
このコレクションを作る際、デザイナーの黒河内さんは宮本輝の『錦繍』を読みながら6か月の旅をしたそうです。
宮本輝『錦繍』は、昭和60年に発表された小説で、かつて夫婦だった男女が別れ、10年後に再開してからの手紙のやり取りを題材にした、切なさのある一種のラブストーリーです。
その小説を読み込みながら6か月間旅をし、そこで得た発想を黒河内さんのフィルターを通してコレクションとして展開しています。
旅は中央アジアのシルクロードを超えてウズベキスタン、九州・美山までを移動するなかなか大がかりなものだったようです。
春夏シーズン
6月に旅に出て、その際に黒河内さんが目にした紫陽花、藤やパンジーに着想を得て、なおかつ小説の主人公が葡萄色の服を着ているという描写があったことから、春夏シーズンのコレクションには印象的な紫が多く登場しています。
そこに、大分県の小鹿田焼から着想を得たというベージュ色が調和して柔らかな印象になっています。
マメクロゴウチにおいて、伝統的な日本の焼き物というのは色はもちろん手触りなどの質感などもデザインに大きな影響を与える存在といえそうです。
引用元:Fashion Press
秋冬シーズン
秋冬も引き続き宮本輝『錦繍』を手に旅をした黒河内さんの集めた美しいピースから作ったコレクションになっています。
冬の東北の、満点の星空をモチーフにしたアイテムから始まるこのコレクション。
空にちらばる星々の輝きを表現するのは、日本の伝統的な技術である「刺し子」から着想を得たステッチです。
ネイビーの生地に細かく立体的なステッチと、再度にあるホワイトの切替は星が集まって光り輝いている様を想起させます。
その他にも「こぎん刺し」や「裂き織り」といった伝統的な技術からインスピレーションを受けたアイテムを展開。
こぎん刺しも裂き織りも、東北地方に起源があるといわれる手法です。
そんな日本の伝統的かつ素朴な手触りのある技術をしっかりとモードの表情に仕立て上げる、とてもマメクロゴウチらしいコレクションになっています。
引用元:Fashion Press
二次流通市場での評価
2015年までのマメクロゴウチのコレクションについてご紹介してきました。
この記事の公開が2021年となりますから、2015年などのコレクションになると、やや年代としては古く感じるかもしれません。
マメクロゴウチの少し古いシーズンのお買取りについてですが、結論からいうと価値はかなり落ちにくいといえます。
2015年以前のワンピースなどは、むしろ「希少なもの」として金額が高騰することすらあります。
コレクションのルックなどでもワンピースを象徴的に扱っていたり、キーアイテムとしているものが多いことから、マメクロゴウチでは、ワンピースは特に人気のあるアイテムになります。
したがって中古市場では特に評価されやすく、上記のような「プレミア価格で取引される」ということがしばしば起こっています。
それ以外にもアウター類なども同様に希少なものとして金額が高騰したり、中古市場では総じて高い評価を得ています。
デザイナーの黒河内さんが強く意識している部分でもあると感じるのですが、流行に流されにくい、ファッション界のトレンドとは距離を置いた物づくりが中古市場でも高く評価されているといえそうです。
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