
引用designandculturebyed.com
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
ジェンダーの境界を曖昧にし、“多様な美”を追求し続けたデザイナー、ジャンポール・ゴルチエ。
彼はこれまで、既存の概念を打ち壊す大胆な発想や独自の視点を反映させたコレクションを多く発表し、ファッション界に革命をもたらしてきました。
今回は、
- JEAN PAUL GAULTIERとは
- 過去の名作コレクション
という形でお話していきます。
特にブランドを象徴する名作コレクションをピックアップし、「前編・後編」と分けて紹介していきます。
JEAN PAUL GAULTIERとは
デザイナーのジャンポール・ゴルチエ 引用lookmag
Jean Paul Gaultier(ジャンポール・ゴルチエ)は、デザイナーのジャンポール・ゴルチエが1976年に立ち上げたファッションブランドです。
代表作にはコーンブラやタトゥースキンデザインがあり、異文化ミックスやアヴァンギャルドなスタイルが特徴です。
性別や異なる文化に対する柔軟な視点で、これまで数々の革新的なデザインを生み出し、現在に至るまでモード界に大きな影響を与えてきました。
過去の名作コレクション
ここでは、ゴルチエのデビュー時期である1970年代後半から1990年代半ば頃までを「前編」として紹介します。
1978SS 初期のコレクション
1978SSは、ゴルチエが自身のブランドアイデンティティを確立し始めた、初期の重要なシーズンです。
1977SSにデビューしてから3シーズン目となるコレクションで、まだまだ財政的に厳しい状況だったため、主に古着やフリーマーケットで購入した素材をリメイクした作品を発表。
鮮やかなプリントや大胆なカットアウト、異素材ミックスなど、多彩なデザインを披露し、資金面で制約がある中でも、ゴルチエはクリエイティビティを最大限に発揮しました。
これにより、従来の高級路線のファッションとは異なる「日常性」と「親しみやすさ」を持つプレタポルテを誕生させたのです。
また、この時期といえば、ゴルチエが「オンワード樫山」と契約を結び、本格的にブランドを展開し始めたタイミングです。
そのため、このシーズン以降は資金面が安定していき、より自由なクリエイションを発表していきます。
1983SS Ballerina Rockers
1983SSコレクション「Ballerina Rockers(バレリーナ・ロッカーズ)」は、バレエの繊細さとロックの荒々しさという対極的な要素を共存させたスタイルを打ち出しました。
柔らかなチュール素材やサテンに、レザーやハードなディテールを組み合わせているのが特徴です。
バレリーナの優美さと、ロックの力強さが同時に表現され、バレエの優美さを損なわずにエッジィなスタイルへと昇華させているのです。
特に注目を集めたのは、ビスチェやキャミソールやコルセットを、アウターとして着用させたスタイリング。
隠されるべきとされていた下着を堂々とアウターウェアとして提示したことは、当時としては斬新であり、後に続く「アンダーウェアをアウターとして着る」というトレンドの先駆けとなりました。
ブラ付きコルセット・ドレス 引用europeana
また、このコレクションで初めて発表されたブラ付きコルセット・ドレスは、後に「コーンブラ」として知られるようになり、ゴルチエの象徴的なデザインの一つとなりました。
ランウェイに登場したゴルチエ 引用europeana
「Ballerina Rockers」は、ファッションを通じて社会的メッセージを発信する彼の姿勢を明確に示し、ゴルチエの名をさらに広めることとなったのです。
1984SS Homme Objet(メンズコレクション)
※こちらのコレクションについてはただいま画像を探しております。見つかり次第、こちらに追加させていただきます。
1984SS「Homme Objet(オム・オブジェ)」は、ブランド初のメンズラインのコレクションで、彼のジェンダーに対する探求的なアプローチを示す重要なシーズンです。
男性を「オブジェクト(物体)」として捉え、これまで「男らしさ」とされてきた要素を覆しました。
特に印象的だったのは、男性モデルにスカートを履かせたり、ビスチェやコルセットを着せたりしたルック。
これまで女性専用とされていたアイテムを、あえて男性の体にフィットさせることで、力強さと繊細さを両立させた新しい美の形を提案したのです。
従来の「男らしさ」へのアンチテーゼを突きつけつつ、男性がファッションを通して自由に自己表現できる道を切り開きました。
現代のジェンダーレススタイルに通じる先駆けとしても、今なお評価が高い名作です。
1984AW Barbès
1984AW「Barbès(バルベス)」は、ゴルチエがパリのバルベス地区にインスピレーションを受けて制作した、異文化を融合させたコレクションです。
バルベスはパリ北部の多様な民族や文化が交錯するエリアで、その土地のカオスでエネルギッシュな雰囲気を、そのままファッションに落とし込んでいるのが特徴です。
エスニック調のチェック柄やストライプ、アフリカンテキスタイルを彷彿とさせるカラフルなパターンがコレクションの中核を担っています。
ラスタ風のヘアスタイルやターバンを巻いたスタイル、レイヤードが強調されたルックなど、異なる文化が混ざり合う感覚をそのまま体現しているのが印象的です。
また、1984AWといえば、「コーンブラ」が初めて登場したシーズンとしても知られています。
1983SSで登場した“ブラ付きドレス”を進化させ、より立体的で刺激的なデザインを打ち出しました。
このコーンブラは、後にマドンナのステージ衣装として世界的に有名になり、ゴルチエの代名詞となりました。
「Barbès」は、“違うことは、美しい”というゴルチエのデザイン哲学を明確に示したコレクションだといえます。
1985SS Androgyny
1985SS「Androgyny(アンドロジニー)」は、ゴルチエがジェンダーの枠を超えたデザインを徹底的に追求したコレクションです。
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「アンドロジニー=両性具有」が示す通り、男性性と女性性を曖昧にし、性別の固定観念を解体する試みが全面に押し出されました。
このコレクションでは、男性モデルがスカートを着用する一方で、女性モデルにはマニッシュなテーラードジャケットやボーイッシュなパンツが用いられました。
これにより、ファッションが持つ「男らしさ」「女らしさ」といったステレオタイプを覆し、個人の自由な自己表現を強調したのです。
ファッションを通じてジェンダーの壁を壊したたこのコレクションは、現在もジャンポール・ゴルチエの名作として位置付けられています。
1987AW Rock Stars(メンズコレクション)
1987AW「Rock Stars(ロック・スター)」は、ゴルチエがパンクロックカルチャーにインスパイアされ、そのエッセンスを大胆に取り入れた挑発的なメンズコレクションです。
ライブのようなエネルギッシュなショーを展開し、モデルたちはロックスターさながらの風貌で登場。
パンクロックとファッションを融合させた、まさにロックスターそのものを表現するスタイリングが話題を呼びました。
このコレクションでは、レザーやデニムといった素材がふんだんに使用され、スタッズやチェーンなどハードなディテールが多用されました。
特に象徴的なのが、男らしさと反逆性を強調したライダースジャケットやタイトなボンデージ風パンツ。
また、鮮やかな黄色や赤といったカラーも用い、ダークな印象に華やかさを加えたアイテムも印象を放っています。
「Rock Stars」コレクションは、音楽への愛と自己表現を促す彼の哲学を明確に表現したものとなりました。
1988SS African Queen
1988SS「African Queen(アフリカン・クイーン)」は、ゴルチエが持つ異文化への好奇心が炸裂したコレクションです。
アフリカという異文化を尊重しつつ、その文化特有の美しさと力強さを新たな形で表現しました。
アフリカの伝統衣装や部族文化から着想を得た独特のディテールや、伝統的なアフリカンジュエリーをモチーフにしたビーズやフリンジをあしらった装飾アイテム、エスニックなパターンが施されたテキスタイルが数多く取り入れられています。
カラーは、鮮やかなオレンジやレッド、深みのあるグリーンやブラウンが多用され、アフリカ大陸の多様性を表現しています。
一方で、アフリカ文化を単純に模倣するのではなく、モダンなエッセンスを加えて再構築している点もこのコレクションの特筆すべき点です。
伝統的な幾何学模様をシアー素材やボディコンシャスなシルエットに落とし込むことで、エレガントさとエキゾチシズムを両立させているのです。
異なる文化をリスペクトしつつ、新たな形で提示した「African Queen」は、ゴルチエが持つ創造力と独自性を改めて証明したコレクションだといえます。
1989AW Women Among Women
1989AWコレクションは、「Women Among Women(女性の中の女性)」というテーマを掲げ、女性の多様性や力強さを称えました。
伝統的な衣装や歴史的モチーフを取り入れつつも、前衛的なデザインを融合させたスタイルが特徴です。
女性の社会進出が進む中で「ファッションで女性の力を表現する」という、当時の社会背景が反映されています。
コレクションの最大の特徴は、軍服にインスパイアされたデザイン。
テーラードジャケットやダブルブレストのコート、ブレザーなどが中心に展開され、威厳と品格を感じさせるフォルムが際立ちます。
また、色使いも軍服を彷彿とさせるオリーブグリーン、ネイビー、ブラックを基調に、アクセントとしてゴールドやレッドが効果的に使われています。
ランウェイでは、女性モデルが威厳を持って歩く姿が印象的で、観客に「強さ」と「気高さ」を強く訴えかけました。
このコレクションは、当時のモード界においても大きな話題となり、「女性像の新たな解釈」として評価されました。
1993SS Les Classiques Gaultier revisités
1993SS「Les Classiques Gaultier revisités(ゴルチエのクラシックを再解釈)」は、ゴルチエがこれまでの自身のアイコニックなデザインを再解釈し、新たな価値を与えたコレクションです。
「クラシック」をテーマに掲げながらも、彼ならではのエッジの効いた視点が巧みに反映されています。
このコレクションの最大の特徴は、ボーダー柄やコルセットといったブランドシグネチャーをふんだんに取り入れながらも、新たな素材感やカッティングで再構築している点です。
また、女性モデルが男性的なタキシードやハイウエストスラックスを着用するといった、性別や体型の境界を曖昧にするジェンダーレスな要素も取り入れられています。
特に目を引いたのは、スパンコールで乳首やおへそ、アンダーヘアまでも再現したボディスーツ。
身体そのものを飾るというゴルチエの独特なアプローチは、ファッションと身体の境界を大胆に揺さぶり、大きな話題を呼びました。
1993AW Rabbi Chici
1993AW「Rabbi Chic(ラビ・シック)」は、宗教的シンボルとファッションを融合させた挑戦的なコレクションです。
「Rabbi」はユダヤ教の宗教指導者を指し、「Chic」は“洗練された”、“粋な”といったフランス語由来の言葉です。
ゴルチエがブルックリン訪問中に触れた、ハシド派ユダヤ人コミュニティの伝統的な衣装や文化からインスピレーションを得て制作されました。
特徴としては、伝統的なラビの衣装を彷彿とさせるロングコートや、黒のローブを多用し、あたかも宗教儀式のような雰囲気を醸し出している点です。
また、誇張されたキッパ(帽子)、ペヨス(耳の前に垂らした髪型)、シュトレイメル(毛皮の円形帽子)といったユダヤ教の象徴的なアイテムも多く取り入れています。
「Rabbi Chic」は単なる宗教的衣装の模倣ではなく、文化的背景への深い理解とリスペクトを込めたゴルチエらしい多文化主義を象徴しているコレクションで、現在もヴィンテージ市場で高い人気を誇っています。
1994SS Les Tatouages
1994SS「Les Tatouages(レ・タトゥアージュ)」は、ファッションと人体への追求が強く表れたコレクションです。
シアー素材やストレッチ性のある生地にタトゥープリントを施したボディスーツを中心に、服そのものが「第二の皮膚」として機能する斬新なデザインが登場。
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トライバル模様やオリエンタル風の花柄、幾何学模様などがリアルに描かれ、肌に直接彫り込まれたかのような視覚効果を持たせています。
これにより、服そのものが肌の延長として機能し、衣服と身体が一体化するかのような錯覚を引き起こしました。
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また、ビスチェやコルセットをあえてタトゥースキンの上に重ねることで、フェティッシュな要素とエレガントさを両立させています。
後のタトゥー柄ブームにも大きな影響を与えた、今もなお語り継がれるコレクションです。
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ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
単なる服の発表ではなく、社会や時代のメッセージそのものを伝えてくれるジャンポール・ゴルチエの名作コレクション。
伝統や固定観念を打ち破り、自由な自己表現の可能性を示してくれたゴルチエのデザインは、これからもファッション界に影響を与え続けるでしょう。
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