ブームは去った?コムデギャルソンの普遍性への挑戦|COMME des GARÇONS
引用:fashion-press.net
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
今回は、コムデギャルソンの普遍性についてのお話をしたいと思います。
誕生は60年代という長い歴史を持つブランド、コムデギャルソン。
その長い歴史の中でブランドの人気は衰える事を知らず、若年層をも取り込んでいます。
しかし、世界中に鮮烈に「コムデギャルソン」を焼き付けた70、80年代に比べると、コムデギャルソンはもう時代遅れなのではないか?という声も聞こえてきます。
それは果たして本当なのか?
そうでないなら、コムデギャルソンは普遍的であり得るのか?
今回はそんなお話をコラムのような形式でさせていただきたいと思います。
ぜひご覧ください。
目次
コムデギャルソンの普遍性とは
コムデギャルソン(COMME des GARÇONS)は、1969年に誕生した日本のファッションブランドです。
コムデギャルソンには既に長い歴史があり、日本のモード界を牽引してきた存在でもあります。
国内ではもちろん、海外の著名なデザイナーの中にも、コムデギャルソンに影響を受けたと公言するデザイナーは後を絶ちません。
日本を代表するといえる存在感のあるブランドとして、現在もファッション好きのユーザーに愛されています。
しかし、「コムデギャルソンは時代遅れの産物になってしまった」という言い方をする方々もいます。
それは事実なのでしょうか。
結論からいえば、私たちはそれに「NO」と答えます。
コムデギャルソンには、ある種の普遍性があります。
今回は、その「コムデギャルソンの普遍性とは何なのか?」について、お話していきたいと思います。
コムデギャルソンの歴史
80年代、コムデギャルソンが発表したコレクション等が影響して、「カラス族」というブームが作られました。
コムデギャルソンのデザインには、「社会に流されることのない自立した女性像」が表現され、当時ヨーロッパのファッションシーンを席巻していた、フェミニンな風潮とは一線を画していました。
発表したコレクションが「黒の衝撃」と呼ばれたのは有名な話ですが、その時コムデギャルソンが作り上げたのは、黒が基調となったモノトーンのルックであり、ルーズなシルエット、またボロボロに破れたようなニットなどです。
今見てもインパクトのある、「おかっぱ頭に黒い服」。
そこに孤高の女性のイメージが作り上げられることになりました。
当時の“カラス族” 引用:the-comm.online
コムデギャルソンというブランド名の意味は、「少年のように」です。
では、コムデギャルソンのブランドの中で「少年のようなデザイン」が確立したのかといえば、そうではありません。
敢えて「コムデギャルソン」というブランド名を付け、そこに託されたのは、デザインを生み出す側の「少年のような冒険心」です。
当時、黒はタブー視されていたのですが、それを堂々と登場させたことも、ボロボロのシルエットも、この作り手の「冒険心」ゆえと言っていいでしょう。
“アンチモード”とは
コムデギャルソンを評価する人々によって、よく“アンチモード”という言葉が使われます。
アンチモードという言い方をそのまま解釈すれば、コムデギャルソンは「モードに反対するデザインの提案」ということになります。
しかし、コムデギャルソンの少年のような冒険心で表現される“アンチモード”は、「=反対する姿勢」なのではなく、「模倣から逃れ、オリジナルを工夫すること」だということができます。
コムデギャルソンは、服の表面の捻りであったり、たわみ、アシンメトリーという形で独自性を主張することになります。
2017AWコレクションより 引用:fashion-press.net
2016SSコレクションより 引用:fashion-press.net
コムデギャルソンの社長は川久保玲であり、副社長は渡辺淳弥です。
彼らは運営とともにデザインにもダイレクトに関わり、経営方針にもコムデギャルソンの独自性は発揮されています。
代表取締役・川久保玲さん 引用:wwdjapan.com
副社長・渡辺淳弥さん 引用:tjapan.jp
このように、コムデギャルソンは“創造する集団”です。
栄枯盛衰の激しいファッショ業界の中で、独自のブランド哲学を武器に、長いあいだ実績を残し続けてきました。
コムデギャルソンの戦略
80年代は、ヨウジヤマモト、イッセイミヤケ、そして、コムデギャルソンがモード界のトレンドの中心でした。
90年代になって黒のファッションが一般化し、「黒」の持つ反骨的な意味合いが薄まっていくと、コムデギャルソンはその逆を行き、赤などの鮮明な色を積極的に使ったコレクションを展開するようになります。
そのようにして、時代のトレンドとは距離を取りながらも、独自の美学によってモード界を牽引してきました。
95年のコムデギャルソンより 引用:pinterest.jp
ブランドの核にある哲学はそのままに、メンズラインの設立、そこから様々なラインを展開してきました。
展開する途中で無くなったラインなどもありますが、現在では、コムデギャルソンでは20近くのラインが展開されています。
以下にいくつかのラインをご紹介します。
「COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)」
コムデギャルソンの中核となるレディースラインブランドです。
COMME des GARÇONSのコンセプトは、「反骨精神」、そして「見たことないもの」です。
これまでCOMME des GARÇONSからは、ファッションの世界にある固定観念が覆るデザインが、いくつも発表されています。
「Comme des Garçons Comme des Garçons(コムデギャルソンコムデギャルソン)」
コムデギャルソンのラインの中で、「川久保玲の考えるベーシックなスタイル」を展開する、また、日本の技術継承を重視したブランドです。
「COMME des GARÇONS HOMME PLUS(コムデギャルソン・オムプリュス)」
コムデギャルソンのメンズラインです。
見たことのないものがコンセプトとしてあり、フリルやスカートなどを取り入れたものなど数多くデザインが発表されました。
「PLAY COMME des GARÇONS(プレイ・コムデギャルソン)」
ハートマークで知られているブランドです。
PLAY COMME des GARÇONS(プレイ・コムデギャルソン)のコンセプトは、「デザインしないこと」。
また、他のラインと比較して価格が安く提供されていることも特徴としてあげることができます。
価格が安いから、より幅広い人たちにも手が届くようになり、コムデギャルソンの名前を広めることになります。
「JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS(ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン)」
コムデギャルソンの副社長でもある渡辺淳弥が手がけるレディースラインです。
ツイード、デニム、パッチワークを取り入れたデザインが多く、様々な実験的とも言うことができるデザインが展開されています。
「tricot COMME des GARÇONS(トリコ・コムデギャルソン)」
栗原たおがデザインを担当した、ガーリーな雰囲気を持つレディースラインです。
「トリコ」にはもともとも編み物という意味があります。
ブランド名が表すように、ニットが中心のデザインが展開されています。
2022年春夏シーズン、tricot COMME des GARÇONSから「tao(タオ)」というデザイナーの名前を表すブランド名に変更されました。
より深化した表現に期待できそうです。
「COMME des GARÇONS noir Kei Ninomiya(コムデギャルソン・ノワール ケイ ニノミヤ)」
二宮啓がデザインを担当しています。
2012年に登場したレディースラインのブランドです。
他のラインと比較してまだまだ歴史の浅さがありますが、それに負けない勢いも感じさせるブランドです。
このように、コムデギャルソンではコンセプトに合わせてラインを分化して展開し、コムデギャルソンの持つ様々な面を表現しています。
PLAY COMME des GARÇONS(プレイ・コムデギャルソン)の登場
引用:farfetch.com
PLAY COMME des GARÇONS(プレイ・コムデギャルソン)を一例にあげますが、ここにコムデギャルソンの売るための戦略を見ることができます。
プレイ・コムデギャルソンといえば、目のついたハートマークがトレードマークです。
この「プレイ・コムデギャルソン」は、コムデギャルソンを知らない人にも浸透するほどに、有名になったブランドです。
そのため、一部には、このハートマークのブランドが、コムデギャルソンのすべてだと思っている若い人たちもいるかもしれません。
言うまでもなくプレイ・コムデギャルソンは、コムデギャルソンの一部に過ぎないのですが。
コムデギャルソンからは様々なすごいデザインが発表されているのに、目のついたハートがすべてだと思われているのはちょっともどかしい所もあります。
しかし、それでもプレイ・コムデギャルソンは、充分に役割を果たしているということができます。
なぜなら、上述のように、「コムデギャルソンのことを知らない」という人たちにコムデギャルソンの存在を知らしめて、そのような人たちがコムデギャルソンの商品を買うようになったからです。
昔からコムデギャルソンのファンだったという方々は、そのような現象に違和感を感じることもあるかもしれません。
しかし、こういったライト層に訴えるラインの展開というのは、コムデギャルソンが会社として利益をあげて生き残るため、やむを得ない手段ともいうことができます。
プレイ・コムデギャルソンに対して賛否両論もありそうですが、これはどの企業でもおこなっている経営戦略ということができます。
そういった戦略によって、一方で売上を取り、また一方でブランドの美学を突き詰めた、攻めたデザインでブランドの根幹を表現することが出来ているともいえます。
コムデギャルソンの時代はもう去った?
コムデギャルソンはある時代のファッションをリードし、その戦略によって名を世に知らしめてきたことは先述のとおりです。
しかし、現在に至り、「コムデギャルソンのブームは去った、コムデギャルソンは時代遅れ」と表現する人たちもいます。
ファッションブランドとはある意味流行を追い求めるものであり、流行は時間の経過とともに過去のものになってしまうのは仕方のないことなのでしょうか。
一方では「コムデギャルソンは普遍である」という言い方をしている人たちもいます。
しかし「そもそもファッションブランドに普遍性など存在するのか?」と首をかしげてしまうこともあるのかもしれません。
ファッションブランドの中には廃れてしまうものもあります。
しかし、それを覆す普遍的ブランドも存在しています。
そして、その普遍的ブランドのひとつがコムデギャルソンであると言っていいでしょう。
私達の住んでいる世界には、おおよそ全てのものに流行り廃りがあるのは事実です。
非常に人気のあるブランドだったのに、「最近はダサい」という書き込みがSNSでされていて、「いま着るのはちょっと恥ずかしい…」という気持ちになるブランドもあるかもしれません。
「流行は繰り返す」とも言いますので、そのようなブームが去ったブランドでも、リバイバル的に再び日の目を浴びる可能性もあります。
ですから、少し流行を外れた服も捨てないでタンスの中に大事に取ってあるという方もいらっしゃるでしょう。
またその反面、ブームが去ったあと“ダサい”というレッテルが貼り付けられて、そのまま2度と日の目を浴びることがないようなブランドもあります。
少なくともコムデギャルソンは、上記のようなブランドには当てはまりません。
しかし、過去のコムデギャルソンのデザインひとつひとつを取れば、今の時代にマッチしないものも数々見つけることができます。
それを人たちが見て、「コムデギャルソンはやはり時代遅れ」と決めつけてしまうのかもしれません。
コムデギャルソンが求めている普遍性
そこで、コムデギャルソンがブランドとしてダサくなってしまったのか、“普遍性”という視点から追求していただきたいと思います。
流行は移り変わるものであり、そこに普遍性など存在しないという言い方もできるかもしれません。
しかし、そこで諦めてしまっているブランドは、やはりこの競争が厳しい社会の中で生き残ることが出来ずに消えてなくなってしまうでしょう。
「他のブランドが赤を基調としてモードを発表したから、我がブランドは黒を基調としてモードを発表しよう。」
また、「世間では黒が当たり前化しすぎてしまったので、今後は、黄色のモードを発表しよう。」
そういった事は、ブランドがコレクションを製作する上で、当然しなければならない経営戦略なのかもしれません。
コムデギャルソンというブランドも、プレタポルテとして洋服を販売する以上、そのような意識から解放されることはありえないです。
もっと力強いものを作るという決意
しかし、川久保玲氏の言葉を借りれば、「ファッションに普遍性をもたらす要因のひとつは、もっと力強いものを作るという決意」だということです。
いつの時代でも、「もっと力強いものを作る」という決意をもって、ファッションと真摯に向き合うことができれば、ブランドとしていつまでも色褪せず、強度のあるデザインを作ることができます。
コムデギャルソンは、これまでそれを続けてきたブランドです。
そして、今後もその姿勢を崩さず、強いファッションブランドとして「力強いものを作る」という課題と向き合ってくれるでしょう。
しかし、川久保玲氏の言葉を借りれば、年齢とともに段々ともっと力強いものを作るという決意が弱くなり、時として「自分は力を抜いているんじゃないか?」と思えることが増えてきたということです。
そのような意味では、コムデギャルソンはいつか普遍性を失ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、川久保玲イズムを継承するメンバーが、その決意を引き継いでくれるのではないか、という期待をすることはできます。
ここまでお話しましたが、コムデギャルソンが普遍性を持つには、まだ説明が不十分です。
説明しなければならないのはその力がどこに向いているかです。
「美しい」とされるものに対してのアンチテーゼ
コムデギャルソンのデザインには、美しいとされるものに対してのアンチテーゼが内在しています。
例えば、1997SSシーズンのコレクションです。
1997SSのCOMME des GARCONSのコレクションには、「Body Meets Dress, Dress Meets Body(ボディミーツドレス ドレスミーツボディ)」という題目がつけられています。
引用:courrier.jp
やさしいピンクやレッドのギンガムチェックのドレスの、肩、ヒップであったり、身体のあちらこちが不自然に膨らんでいます。
膨らみの正体は、内側に仕込まれた羽毛パッドです。
Body Meets Dress, Dress Meets Body(ボディミーツドレス ドレスミーツボディ)。
テーマの意味は「ボディが先か、服が先か」です。
そこに、コムデギャルソンの過激な挑戦があります。
なぜこんなところにコブがなければならないか。
見る人たちは誰もが疑問に思うことでしょう。
「ボディが先か、服が先か」
果たして「体よりも先に存在する服」には、存在意味があるのでしょうか。
しかしそれは、女性美という概念に向かい合い、それを真向から否定した結果です。
コムデギャルソンは、目先の流行を単に追求するのではなく、既存の「美」という概念に真っ向から、力強い決意でもって疑問を投げかけるブランドということができます。
「何が女性らしく美しいのか?」という価値観は時代によって違いはありますが、流行と比較をすれば変化は極めてスローであり、一見「女性らしさ」という価値観は普遍にも見えます。
そして、コムデギャルソンは、「女性らしく美しい」という概念を真向から否定する力強い決意を持つことで、普遍性に寄り添う形で存在しています。
おおかた世間のファッションブランドは、女性の美しさに逆らってはいません。
膨らむ場所が膨らんで、膨らんでいない場所ではすぼんでいたりします。
しかし、コムデギャルソンのデザインは膨らんでいる必要のない場所が膨らんでいたり、見る人たちは違和感を感じることでしょう。
この違和感が、コムデギャルソンの原動力です。
その違和感に共鳴し、段々と心地よくなったとき、コムデギャルソンというブランドの良さが真に解るといえるのではないでしょうか。
- もっと力強いものを作るという決意
- 既存の美の概念を否定する
この2点において、コムデギャルソンというブランドは、他のブランドとは違った普遍的な存在感を実現しているのです。
まとめ
今回、コムデギャルソンの普遍性についてお話をしました。
コムデギャルソンというブランドの魅力はとても奥深く、まだまだ、コムデギャルソンについて全部を語ったわけではありません。
しかし今回、コムデギャルソンがこれまでやってきたこと、ブランドの美学と戦い方、普遍性への挑戦についてお話してきて、自ずと「コムデギャルソンは時代遅れなのか?」という問いに答えが出たのではないかと思います。
KLDでも、コムデギャルソンというブランドはこれまでも、これからも目が離せないブランドであり、1ファンとしての立場ではありますが、二次流通の場からコムデギャルソンの普遍性への挑戦を見届けたいと思います。
KLDでは、コムデギャルソンのお取り扱いを強化しております。
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