COMME des GARCONS「こぶドレス」って何?|コムデギャルソン
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
日本を代表するモードブランド、COMME des GARCONS(コムデギャルソン)。
そのコムデギャルソンが、1997年春夏シーズンに発表した伝説的なコレクションをご存知でしょうか?
今回は、そのコレクション「Body Meets Dress, Dress Meets Body」で展開したアイテム、通称「こぶドレス」について解説したいと思います。
- こぶドレスって何?どんなコレクションだったの?
- 中古市場での評価
- KLDでの取り扱い実績
という形でお話していきたいと思います。
目次
こぶドレスについて
こぶドレスって何?
引用 kci.or.jp
まず、通称こぶドレスと呼ばれているアイテムがどのようなものなのかを説明したいと思います。
こぶドレスが発表されたのは、97年SSシーズン、「Body Meets Dress, Dress Meets Body」というコレクションでした。
そのコレクションは、ギンガムチェックの様々な色のストレッチ素材の服の下、体のそこかしこがいびつに膨れ、変形し、まさに「こぶ」のように盛り上がっているモデルたちが次々に登場するというある種異様なものでした。
コレクションを発表した当時、当然評価は賛否両論。
「ボロルック」でファッション界にセンセーショナルにその名を轟かせたコムデギャルソンとはいえ、今回はさすがにやりすぎなのでは…?などとも言われていたそうです。
「社内でも、制作以外のスタッフに見せたときは最初はみんな無言でした。何か言いなさいよって言いながら孤独を感じましたね。」
書籍「THE STUDY OF COMME des GARCONS」より引用
と、デザイナーの川久保玲さん本人もいう通り、コムデギャルソンの社内ですら多くのスタッフを戸惑わせながらも、川久保さんは自分のデザインを信じて発表しました。
なぜこんなデザインなの?
なぜこのような形のドレスになったのか?ということですが、この「Body Meets Dress, Dress Meets Body」というこのコレクションは「身体と服の相互の束縛を解き放つ」というコンセプトで制作されていました。
身体と服の相互の呪縛とは何か。
私たちを含むあらゆる現代の人間にとって、服は体にまとい、防寒のためであったり社会性のためであったり、怪我を防ぐためであったり…と、「服」としての機能を求めて身につけるものかと思います。
その考え方からいえば、「服」は「身体」のためにあると言え、また逆に「身体」が「服」のために存在していた時代もありました。
18世紀のヨーロッパ、煌びやかな社交界で、女性たちはコルセットで身体を作りかえ、不自然なほどに大きな鬘をかぶり、着るドレスに合わせるように身体を作って、自らが芸術品になるかのように装飾していました。
このように「服」と「身体」は密接にバランスを取りながら(あるいはバランスを崩しながら)、お互いを呪縛するような関係性にあるといえます。
それを解き放ちたい、というのが川久保玲さんのコムデギャルソンのデザインであり、それが顕著に現れたのがこの「こぶドレス」だったといえます。
「この服ってどうやって着るの?」
と、かなり奇抜なデザインのコムデギャルソンの服を見て、そういった感想を抱くことがあるかと思います。
これこそが「身体と服の相互の束縛を解き放つ」ことの一端であるといえ、川久保さんは、機能性を重視する「身体のための服」ではなく、また完成系が決まっているがゆえに身体を作り替えるような必要のある「服のための身体」を着る人に要求するでもなく、ある種のリアルクローズからあえて離れることによって、相互の呪縛から自由になろうとしているといえます。
当時、ラグジュアリーブランドのコレクションなどでは煌びやかで派手なもの、また奇抜なものはありました。
しかし、ここまで身体性を無視し、「人間の美しさ」という一般的な概念から遠ざかったコレクションを発表したブランドはコムデギャルソン以外にはありませんでした。
それが、今でもこぶドレスという存在が時代を超えて評価されている所以であり、その精神自体が、コムデギャルソンというブランドへの畏怖と愛着を生んでいるといえるのではないでしょうか。
アート界に評価される
ファッション界では物議をかもし、正直首をかしげる人の多かったこぶドレスですが、アート界ではすんなりとその芸術性を受け入れられていたそうです。
「川久保の最新作は、その突起をコブとは捉えない偏見のない見方や、自分の体を好きとか嫌いとかと考える子どもじみた主観にとらわれない者の目には素直にシュールレアリスムだと映る。」
アートフォーラム誌、アルス・ヒルトン氏の言葉 書籍「THE STUDY OF COMME des GARCONS」より引用
ヒルトンは、川久保が衣服によって変身願望が遂げられるという幻想を持つ人々の要求とはまったく違う次元で服をデザインしていると指摘している
書籍「THE STUDY OF COMME des GARCONS」より引用
このように、ファッション界ではどちらかというと「奇形じみた体のこぶ」と捉えられていたこのドレスが、美術界ではシュールレアリスム的作品として捉えられ、好意的に受け入れられていたようです。
やはりどこかリアルクローズ的に「着ること」を根底に置いたファッション的な視点と、作品を一つのオブジェクトとして捉えるアート的な視点には剥離があり、当時のコムデギャルソンはその境目のぎりぎりのところに存在しており、よりアート的な観点で歓迎されたという一例かと思います。
このコレクションが発表された年に、この「こぶドレス」からインスピレーションを受けたというマース・カニングハム氏の舞踏とのコラボレーションで、衣装としてこぶドレスが採用され、ダンサーたちの身体と共に躍動するこぶドレスは、作品として一つの完成系を迎えたといえます。
マース・カニングハム氏の舞踏「シナリオ」より 引用 anouchka.jp
また、現代でもアーティストの衣装としてこぶドレスが採用されることがあり、BjörkやYUKIといった国内外のミュージシャンの衣装としてこぶドレスの姿を見ることができます。
こぶドレスを着たBjörk
こぶドレスを着たYUKI 引用ともに tenpomap.blogspot.com
しかし、川久保玲氏自身は、長いあいだ「自分は芸術家ではない、ビジネスウーマンだ」と主張しています。
あえてリアルクローズとして着るこぶドレス
ここまでこぶドレスの概要を説明してきましたが、やたらと芸術的な風味の強いそのあり方に「一般的に購入して着るのは縁遠い存在なのでは…」と感じてしまう方も多いかと思います。
確かに羽毛のクッションをしっかりと仕込んでこぶを作ったドレスでは、なかなか日常着としての活用は難しいかもしれません。(パーティーなどではファッション的な文脈も含め、目立てて素敵かと思います。)
しかしこぶドレス自体は、伸縮性の強い生地で作られたカットソー素材の衣服です。
クッションを入れてちょうどいいように、盛り上がりを考慮して作られたパターンの服ではありますが、案外そのまま着てもおかしくはありません。
実際にこぶドレスをちょっとしたおしゃれ着として愛用しているギャルソン愛好家もいるようで、動画で紹介などもされています。
引用元:youtube
このように、実際に着ることもでき、コムデギャルソンの歴史的アイテムを纏えるというロマンも感じられるアイテムとして、こぶドレスはとても魅力的なものといえます。
こぶドレスの中古市場での評価
コムデギャルソンの重要なピースの一つであるこぶドレスですが、中古市場での評価はどのようなものなのでしょうか。
まず、発売年が1997年ということで、当然ですが現存する商品数が新しいシーズンのものほど多くはなく、レアなアイテムとなっています。
中古市場に流通するものは高くて20万円を超えるものもあり、中古市場では高く評価されているといえます。
しかし、とても丈夫な素材感のアイテムではあるのですが、やや穴が開きやすい性質があるのか、ダメージの見られる個体も多く見かけます。
また、やはり肌に近い位置で身につけるアイテムではあるので、汚れにも注意が必要です。
その分綺麗な状態で保存されているものであれば、確実に中古市場で高い金額で売却することが可能でしょう。
ワンピースタイプのもの、カットソー、スカートのみのもの…など、様々なパターンで展開していたこぶドレスですが、やはりワンピースタイプのものが中古市場では高く売れやすいといえます。
また、カットソーとスカートで同じ色柄で揃っており、セットアップのような形で売れるのであれば、それもワンピースと同じくらい高い評価を受けることが可能かと思います。
もちろんKLDでも強気のお見積りが可能なブランドです。
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こぶドレスのお買取実績
ここからは、実際にKLDがお買取させていただいたこぶドレスを、買取金額等とあわせてご紹介していきたいと思います。
ワンピースタイプ(レッド)
※インナーを着せた状態です。
状態評価:A
お買取金額:38,000円
予定販売価格:64,900円
セットアップタイプ(ピンク)
※インナーを着せた状態です。
状態評価:B(黄ばみ、小穴などあり)
お買取金額:24,000円
予定販売価格:42,900円
インナーワンピース
状態評価:B
お買取金額:35,000円
予定販売価格:59,900円
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